世耕大臣「新たな付加価値の創出する」

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 データを介したさまざまなつながりにより新たな付加価値の創出や社会課題の解決を目指す「Connected Industries(コネクテッド・インダストリーズ、CI)」。2017年3月に世耕弘成経済産業相がドイツ情報通信見本市(CeBIT)で提唱してから1年が経過した。産業界への浸透など今後の戦略を聞いた。

 -世耕大臣がCIの概念を提唱してからちょうど1年が経過しました。産業界への浸透や意義の広がりを踏まえ、改めてその狙いを教えてください。
 「CIは、データを介して、従来つながっていなかった機械や技術、人などさまざまなものが、組織や国境を越えてつながることにより新たな付加価値の創出や社会課題の解決を目指す産業のあり方です。昨年3月にドイツで開催されたCeBITで発信し、5月から3回の懇談会で官民で取り組むべき方向を整理しました。10月のCEATECで『CI東京イニシアティブ2017』を発表し、今はかなり浸透してきた手応えがあります」

 「重点的に政策資源を投入すべき分野は『自動走行・モビリティサービス』、『ものづくり・ロボティクス』、『バイオ・素材』、『プラント・インフラ保安』、『スマートライフ』の5つ。それぞれに分科会を開き、現在、データの協調領域の拡大に向けた検討を加速化させています」

 「自動走行分野では、国土交通省と連携し、企業間の戦略的な協調を推進するなど省庁間の枠を超えた取り組みも動き出しています。安全性評価に必要なシナリオデータの作成や自動走行に必要となる人材の育成・確保などで議論が進んでいます。また、ものづくり・ロボティクスの分科会では、カギとなるデータ共用が大きなテーマ。ファナック、三菱電機、DMG森精機などが提案しているデータプラットフォーム間の協調領域のデータ共用を進めるため、データ構成の標準化や流通の仕組みについて検討しています」

協調領域と競争領域を整理
 「さらに、重点5分野以外にもCIの取り組みは、中小企業の生産性向上や製造業の品質保証体制の強化にもつながります。まだまだ意義の広がりを見せていくでしょう。そしてCIの本質は新たな時代の変革をリードすべく、日本の企業文化を変えることにあると考えています。日本の課題は国内の過当競争で消耗してしまい、グローバル競争で勝てないこと。協調領域と競争領域を整理することで、日本の産業界を新たに生まれ変わらせていきたいと思っています」

 -企業間の協調領域を拡大するためにはどのような政策が必要になるのでしょうか。官の役割を教えてください。
 「官の役割としては、データ活用のためのIT人材育成と、安心してデータをやりとりできる環境整備が重要。人材育成では、IT・データ分野における社会人の学び直しを促進すること。『第四次産業革命スキル習得講座認定制度』を昨年7月に創設し、2018年4月以降に開講する23講座を認定しました。また、ユニークで突き抜けた才能を持つ若者を発掘・育成する『未踏事業』では、年齢制限を撤廃し、起業・事業化までを支援する『未踏アドバンスト』を本格的に進めています」

 「データの共用・利活用を進めるための環境整備では、今国会に提出している法案に基づき、データを共有する事業者を認定し、減税措置や国保有のデータ提供を促す仕組みを構築していきます。加えてデータの利用に係る権利・責任関係を明確化するため『データの利用権限に関する契約ガイドライン』を産業ごとの特性を踏まえた実用的なものに改訂します。こうした政策を進めることで、業界内のデータの協調領域を広げ、リアルデータをめぐるグローバルな競争の中で、日本の勝ち筋であるCIを実現したい」