複数の有力海外メディアが伝えるところによると、米アップルはAI(人工知能)分野の技術開発を強化するようだ。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]

AI部門のシニアバイスプレジデントを新設

 このほど、米グーグルで幹部を務めていた、ジョン・ジャナンドレア氏という著名人を雇い入れ、シニアバイスプレジデントの役職に任命した。

 これまでアップルには、ティム・クック最高経営責任者(CEO)直属の幹部が15人いたが、ジャナンドレア氏は、その16人目となる。アップルがAI部門で、シニアバイスプレジデントの役職を設けるのは、これが初めてだという。

 米ウォールストリート・ジャーナル、米ニューヨーク・タイムズ、英フィナンシャル・タイムズなどが伝えた。

 これらの報道によると、ジャナンドレア氏は、数日前にグーグルを退社したばかり。グーグルでは、「JG」と呼ばれ、高いマネージング能力を持つ人物として、知られていた。

 同氏はメタウェブという新興企業のCTO(最高技術責任者)だったが、2010年にグーグルが、同社を買収し、グーグルに参加。その後は、写真アプリやメールアプリの開発に携わり、2016年に、検索エンジンの責任者に任命された。

「Siri」や「HomePod」の技術強化が狙いか

 ニューヨーク・タイムズによると、アップルのクックCEOは4月3日の朝、社員に向けた電子メールで、ジャナンドレア氏を紹介し、AI部門の新たな役職についても明らかにした。

 アップルが、今後、ジャナンドレア氏指揮の下、AI開発事業をどのように改革していくのかは分からない。しかし、AIは、自動運転車や音声アシスタントなどの分野で重要な役割を果たす技術であり、事業強化はアップルにとって不可欠だとウォールストリート・ジャーナルは、伝えている。

 アップルは、秘密主義で知られる企業だが、同紙によると、それゆえに、研究成果を公表する機会が、ライバル企業と比較して少ない。このことが、大学教授や博士課程の学生などの優秀な人材を雇い入れることを困難にしている。

 またアップルは、AIサービス「Siri」でも、米アマゾン・ドットコムやグーグルといったライバルの後塵を拝しているという。

 アップルは、今年2月、アマゾンやグーグルから2〜3年遅れて、AIスピーカー「HomePod」を米国、英国、オーストラリアで発売した。だが、HomePodは、音声アプリの種類や、応答の的確さといった点で、遅れを取っている。この製品は、AI分野における、アップルの弱点を浮き彫りにしたと、ウォールストリート・ジャーナルは指摘している。

カーネギーメロン大やワシントン大の教授がアップルに参加

 なお、アップルがAI分野で著名な人物を獲得したのは、これが初めてではない。例えば、2016年には、米カーネギーメロン大学教授のラス・ サラクトディノフ氏をAI研究のディレクターとして雇い入れ、画像認識のマシンラーニング(機械学習)に関する研究論文を発表した。

 アップルは2016年に、マシンラーニング技術を手がける、トゥリ(Turi)という米国の新興企業を買収した。これに伴い、同社CEOで、ワシントン大学のマシンラーニング研究の教授であるカルロス・ゲストリン氏がアップルに加わった。

(参考・関連記事)「アップルがまたもやAIの米新興企業を買収」

筆者:小久保 重信