桜の花のような模様の岩石「桜石」について、京都府亀岡市に話を聞いた。

桜の花びら模様の「桜石」

亀岡市で産出される桜の花の模様をした「桜石」。

京都を代表する石として有名で、そのユニークな形がインターネットなどを通じて広がっており、近年は海外でも紹介されているという。

ネットユーザーの間でも「この色と形を自然が作り出すなんて感動的」「これが天然とは、ただただ驚き…!」「信じられない」「自然界のミラクル」「ファンタスティック」「綺麗…」「自然の造形は神秘的」と話題になっている。

提供:亀岡市教育委員会

菅原道真公にまつわる伝説も

亀岡市教育員会の社会教育課文化財係によると、亀岡市と桜石の歴史は正確な時期は不明だが、少なくとも江戸時代の安永8年(1779年)にはその存在が知られていたという。

桜石は、江戸時代中ごろの書物(木内石亭『雲根志』)にも取り上げられています。

1922(大正11)年には「薭田野村の菫青石仮晶」(ひえだのむら の きんせいせきかしょう)として、国の天然記念物に指定されるなど古くから知られていました。

「桜石」は通称名で正式には「菫青石仮晶」と言います。六角柱状の石を折ると断面が桜の花びらのように見えるところから「桜石」といわれ、亀岡市の薭田野町の指定域で採れるものは特別に美しく本当に桜の花びらに見えます。

亀岡市では、2017(平成29)年4月に亀岡市のシンボル、市の石として「桜石」を指定しました。

亀岡市には、「桜石」にまつわるこんな伝説が伝わっている。

昔、菅原道真公が大宰府に左遷されるとき、現在の亀岡市薭田野町鹿谷に住んでいた人がお別れするために京都へ行きました。

別れのしるしとして、道真公から一株の桜をもらいました。その後、道真公もその人も亡くなり、庭に植えられていた桜も枯れてしまいました。

その桜の木の下にあった石に、桜の花の紋がついたという伝説が残っています。

市内では桜石そのものを利用した産業はなかったが、かつて桜石を模したお菓子などが販売されていたことがあるという。

イメージ画像/fotolia

六角粒状結晶が雲母により変質

自然の産物とは信じられないほど桜の花に似ているが、なぜこんな形をしているのか。

約9300万年前(中生代白亜紀)に、もともと存在していた泥岩に地中の内部深くから上昇した花崗岩質マグマにより熱編成してできた菫青石(きんせいせき)という鉱物の六角粒状結晶が、雲母により変質してできました。

桜の花が開いたように見えるのは柱状の結晶断面で、亀岡市薭田野町で産出されるものは特に美しいとされています。

京都府レッドデータブックによると、桜石は日本の他の地域からも産出されるが、母岩が適度に風化して結晶が容易に得られる地域は、今のところ亀岡以外に知られていないという。

担当者「未来に伝えていきます」

桜石は天然記念物のため利用することはできず、販売もされていない。

実物は、亀岡市役所1階ロビーや亀岡市文化資料館で展示されている。

担当者は、桜石に込める思いをこう語る。

古くから世間に知られた「桜石」を先人たちは大切に見守ってきました。

今後、私たちはその意思を引き継ぎ「桜石」を保存するとともに、「市の石」として位置づけて未来に伝えていきます。