明確な目的があってはじめて自分ならではの武器が手に入るのではないでしょうか(写真:Koji_Ishii/iStock)

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こんにちは。安井さんに、質問させていただきます。現在、明治学院大学国際学部に通う大学1年生です。
今年、学校を退学して、他大学の受験勉強をしようと考えています。
ただ、就職についていろいろ調べていると、明学を卒業して米国公認会計士などの資格を取ったり、大学院に行って会計など経営について学んだほうがいいのでは、とも思ってしまいます。
お考えをお聞かせいただければ幸いです。
大学生 Abe

何を学びたいかが明確でないなら転学すべきではない

現在の大学を退学してほかの大学に入学し直すことは、Abeさんに関して言えばまったく意味のない行為ですから、やめるべきです。

なぜならば、現時点において大学に通うことで何を学びたいかが明確でないからです。


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これが明確であれば、それが学べる学校に通うのがよいのでしょうが、Abeさんの場合はその限りではありません。

頂戴した文章を拝見するに、Abeさんは社会に出た際に通用する何かしらのスキルを手に入れたいという願望があり、そのスキルを学ぶ場として大学を見ているようです。

しかしながら、たとえば会計士資格などはご存じのとおり、超一流大学に通っている学生ですら、試験に備えるため予備校に通っています。つまり、大学に通っていれば身に付くスキルではないのです。

私自身のリアルな経験からもそう断言できますが、大学をそのようなスキルの取得の場として見るのは正直、無理があります。

たとえば多くの社会人にとっての必須スキルである英語と簿記などの基本的な会計知識。これらは大学で身に付く代物ではありません。

英語教育の重要さや、英語ができる人材の確保が叫ばれてはや数十年が経とうとしていますが、大多数が数年の英語教育を受けているはずの日本において、いまだに日本人の英語力が向上したという話を聞きませんから、そもそも英語ができるようになることを求めて大学に通うという前提自体に無理があるのです。

大学とは職業訓練校ではありません。そう割り切るべきです。本来はそういった側面をもう少し持っているべきであると考えますが、現状がそうでない以上は、大学に通うことの利点をほかに見いだし、社会に出て通用するスキルの取得は大学外に求めるべきです。

たとえば、さまざまな勉強を通じてやりたいことや興味のあることを見つける場とするとか、勉強をするクセをつける、一般的な教養を身に付ける、自分の視野を広げる場とするなど、大学に通うことでしかできないことも多々あります。

一方で、繰り返しですが職業訓練の場は外に求めるべきですし、実際に私は独学ではありましたが、そのように割り切って大学在学中にさまざまな勉強や経験を積んできました。

そのような前提で考えますと、大学というハコだけ変わっても何の意味もありません。

大学名にかかわらない武器を手に入れる

結局はAbeさんの考えの実現には外の予備校なりに通ったりする「課外活動」が重要になってくるわけですから、むしろ考えるべきはどういった分野で課外活動をするかではないでしょうか。

かくいう私自身も、一流大学の学生ですら予備校に通っている現実や、英語のできない人材を量産する大学教育の限界や、やりたいことがわからないと平然と言う学生たちを見て、自分ならではの武器を手に入れるべく大学1年生から早くも課外活動を開始していたものです。

たとえば英語は前述のとおり一流大学出身者でもできないという意味で、学校のレベルによる差別化が存在しない対象ですから、自分次第で大学名にかかわらない武器を手に入れる可能性の高い対象なのです。つまり、どの大学に通っているかよりも、どんな課外活動をしたかで勝負が決まる分野なのです。

ほかにもそういった分野は多くありますから、Abeさんもどこで戦うかを考える際にはそういった課外活動による差別化が利く分野という視点で考えるのも一考です。

参考までに申し上げますと、私個人はやりたいことが明確であるならば大学名ではなく、学部で選んだほうがよいと思っています。有名な大学よりも、学びたい分野の学部に特出した教授がいるとか、そういった視点で選ぶのがよいと思います。

なぜならば、大学名なんぞ社会に出て数年もすれば正直自分の価値を証明するものにはなりえませんから、それならば自分のものになる知識を学べる学部という単位を優先したほうがよいと思うからです。

いずれにしても、転職にしても転学にしても、「何か」を求めてやってみても何も変わりません。明確な目的があってはじめて、そういった行為は意味を成しうるのです。決して反対ではありません。

学校や会社というハコだけ変わっても、自分が変わらないと意味がないからです。

Abeさんがやりたいことを明確にされ、課外活動による差別化を図り、将来にわたって通用する知識なりを手に入れることを応援しております。