6月から「民泊新法」によって民泊が全面解禁される。外国人旅行者の誘致に期待がかかるが、法施行前から民泊を巡るトラブルは増え続けている(写真はイメージです)

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殺人事件まで発生して行政混乱
民泊は新法で本当に健全化するか

 一般住宅を安価に旅行者へ提供することが、今年6月15日から「民泊新法」によって全面解禁される。それに向け、民泊を運営しようとする人に義務付けられる都道府県知事などへの届け出と登録申請が、3月15日から始まった。一種の「輸入文化」とも言える民泊ブームが、日本でもいよいよ本格化している。

 新法とは昨年成立した「住宅宿泊事業法」。年間の営業日数の上限は180日で年の半分は営業できないが、利用者は一晩でもOKだ。近年のインバウンド(訪日外国人旅行者)に対応すべく、羽田空港のある東京都大田区や、大阪府では「国家戦略特区」として、旧来の旅館業法などに拘束されない制度がすでに運用されている。

 しかし、この国を挙げての観光振興策については、行政の思惑とは裏腹に、届け出の徹底だけではカバーし切れない深い課題がクローズアップされつつある。たとえば大阪市では、吉村洋文市長が「制限を付けないからどんどん届けてほしい」として、違法民泊の撲滅を念頭に2月中の条例可決を目指したが、目下修正を余儀なくされている。

 その理由は、2月16日から行方不明だった兵庫県三田市に住む27歳の女性の遺体が、大阪市西成区の民泊から見つかったことだ。死体遺棄罪などで逮捕・起訴された米国籍の男は東成区の民泊で女性を監禁し、遺体をここへ運んだと見られ、兵庫県警は殺人を視野に捜査を続けている。

 2つの宿はいずれも違法だった。東成区の方は小さなアパートの一室だけを民泊にしており、西成区の方は労働者向けの2階建ての簡易宿舎を全室民泊にしていた。

「ヤミ民泊が1万件以上ある」とされる大阪市では、事件を受けて市議会で「小学校から100メートルの範囲では平日の民泊営業を認めない」などと調整している。「民泊営業をしたい」と市役所に届け出に来た不動産オーナーの男性は、市職員の説明を聞いて「今、届け出を出しても新しい条例でうちが営業禁止区域に指定されるかもしれへん。様子を見てからにするわ」と引き揚げた。

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