ハーストニュースペーパーズ(Hearst Newspapers)のペイウォールが、従来の汎用型からカスタマイズ可能なシステムへと一新された。ヒューストン・クロニクル(Houston Chronicle)やサンフランシスコ・クロニクル(San Francisco Chronicle)をはじめ、24の日刊紙と64の週刊紙を擁する同グループでは、サイトの訪問者や、読者がどんな記事を読んでいるか、という状況に合わせたペイウォールを構築している。

これまでのペイウォールでは、編集側が課金対象のコンテンツを選別していた。しかし、新システムでは、新規の読者にはコンテンツ読み放題の期間を提供し、ペイウォール開始時にはその内容をもとに、個人の好みの沿ったサブスクリプションの案内が提供されることになる。

ハーストニュースペーパーデジタルで、収益担当シニアバイスプレジデントを務めるエスファンド・ポアマンド氏は、「これは[我々はあなたの信頼を勝ち取りたい]というアプローチだ」と話す。

マーケット個別のDNA



サブスクリプションの内容は、読者によって異なる(料金は統一)。たとえば、スポーツファンなら応援するチームの最新情報を入手できるサイトが提示され、地方赴任者には、サブスクリプションすれば市場の動向を把握し続けることができるようなコンテンツが推奨される。ニュースレター購読者を増やすため、同グループでは月に1回、オーディエンスのセグメントを改訂し、リードジェネレーションキャンペーンに役立てている。そのセグメント策定は、読者がどれだけコンテンツを消費したか、というデータがもとになっている。

同グループにおいて、フレキシブルなペイウォールをはじめて実施したアルバニータイムズ・ユニオン(Albany Times-Union)では、9月の試験導入開始以降、サブスクライバーの総数が倍増した。また、ハーストニュースペーパーズの新規加入者数もまた10%増加している。ただ、具体的な購読者数に関しては、同社は発表を控えている。

ハーストニュースペーパーズでデジタルメディア部門のプレジデントを務めるロブ・バレット氏は、「我々は、各マーケットに個別のDNAがあることに気づいた」と話す。「我々は、消費者の関心に基づくペイウォールの最適地を求めて取り組んでいる」。

ロイヤルティ獲得のため



フレキシブルなペイウォールは、読者のロイヤルティを獲得するためのものだ。これは、スケールへの執着から、読者を有料会員に導く方向へ転換を図るパブリッシャーにとって、主要なメトリックだ。

読者がどんなことに多くの時間を費やしているのか、を明確に知るため、ハーストはGoogleの自然言語生成ツールを使用し、すべての記事のインデックスを再構築した。それから、それを地理的な位置やデバイスの種類、また第三者から得たオーディエンスデータといった読者情報に重ねた。バレット氏は、ハーストニュースペーパーズには9000万人ものユニークビジターがいるが、読者ベースのデータによって個人が特定されることは決してないと強調した。

タイムズ・ユニオンでは、もっとも人気のある記事やその読者を把握することで、もっともエンゲージ率の高い読者のセグメントを特定している。彼らが特定した多くのセグメントにより、バレット氏やタイムズ・ユニオンの消費者マーケティング担当者の仮説が確認できた。スポーツページの訪問者がもっともロイヤルティが高く、地元のビジネスについての記事も多く読まれていた。

発覚した意外な事実



意外な事実も発覚している。バレット氏は、10月の試験導入開始前、地元の犯罪記事は常連客には人気がないと思っていた。しかし、それは誤りだということがわかった。

アルバニーから学んだことは、次にサンアントニオとヒューストンに適用された。現在、ハーストが抱える全新聞の消費者マーケティング幹部が週1回集まって会議を開き、情報交換や成功事例の共有を行っている。

ひとつの市場で機能した戦術が、別の場では使えないかもしれないが、各システムが設定したデータのフレームワークによって、各タイトルがそれらをすべて試す柔軟性を手にすることができる。「自分たちが、驚く側の立場になる、という考え方だ」とバレット氏は語った。

Max Willens(原文 / 訳:Conyac)