マリナーズ・イチロー【写真:Getty Images】

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シアトルを熱狂の渦に巻き込んだスーパーキャッチに「いい気分はしなかった」も…

 マリナーズに6年ぶりに復帰したイチロー外野手。3月31日(日本時間4月1日)の本拠地インディアンス戦では、復帰2試合目にして本拠地セーフコ・フィールドで新たな伝説を刻んだ。3回に相手強打者のホームランを強奪するスーパーキャッチを披露。シアトルのファンを熱狂の渦に巻き込んだ。

 背番号51の華麗なホームラン強奪の“被害”に遭ったのは、過去2年の好成績でスター選手への階段を上っているホセ・ラミレス内野手。25歳の好打者は、イチローの“衝撃キャッチ”を初めて振り返ってくれた。

 この試合の3回、先頭打者のラミレスは先発パクストンの初球を強振した。凄まじい打球音とともに打球はレフト方向に飛んだが、打球がフェンスを越えようかという瞬間に背番号51が大跳躍。タイミング抜群のジャンプで、グラブを伸ばした。ホームランボールを奪い取ると、本拠地セーフコ・フィールドは沸騰。スタンディングオベーションと「イチローコール」が鳴り止まなかった。

 その中で、ラミレスは悔しさを爆発させていた。何度も何度もレフト方向を振り返ると、やりきれない表情でダグアウトに引き返した。

「もちろん、いい気分はしなかったよ。自分としてはホームランにしたかったんだからね。確実にホームランだったかは言えないけれどね。でも、自分としてはあの当たりに自信があったんだ」

 2日(同3日)の敵地エンゼルス戦の試合前、ラミレスはクラブハウスで悔しさをかみしめるようにその瞬間を振り返った。昨季は打率.318、29本塁打、83打点と活躍。リーグ最多となる56本の二塁打を放ち、MVP投票で3位に選出された実力者だ。だが、イチローに今季第1号を奪われただけでなく、マリナーズとの3連戦でヒットなしに終わっただけに、悔しさが再びこみあげた様子だった。

「イチローは凄まじいほどの選手」「彼はベースボールのプライド」

 それでも「あれは凄まじいプレーだったよ。偉大なキャッチだった。あれは自分としてもどうしようもなかったよ」と脱帽。年齢差19歳という親子ほど年齢の離れたレジェンドのスーパープレーを素直に絶賛した。

 ドミニカ共和国出身のラミレスはイチローのメジャーでのプレーを見て、育ってきたという。

「イチロー・スズキは凄まじいほどの野球選手だ。彼はベースボールにとってのプライドなんだよ。彼は野球と我々メジャーリーガーにとって、言い尽くせないほどの貢献をしてくれているのだからね」

 中南米出身のメジャーリーガーたちからイチローが絶大な人気を誇ることは有名な話。マーリンズ時代には、ボート事故で急死した故ホセ・フェルナンデス投手も「イチローはキューバで神」と証言していた。

 今季第1号を奪われるという“被害”に遭ったラミレスだが、イチローに「野球界の誇り」と最敬礼。衰え知らずのレジェンドの功績と健在ぶりに敬意を表していた。