ダンキンドーナツ(Dunkin’ Donuts)は、音声(認識)で大きな賭けをしようとしている。

2018年3月14日から、ダンキンドーナツの利用者は、iPhoneやAndroid端末のGoogleアシスタントの音声を通じてドーナツを注文できるようになった。

ダンキンドーナツがこの「モバイルオーダー」に力を入れはじめたのは2017年3月。ナビアプリのウェイズ(Waze)と協働し、ウェイズのアプリからドーナツを注文できるようになった。そして12月には、自動車メーカーであるGM(General Motors)の新しいモデルからのモバイルオーダーも可能になり、クルマのダッシュボードに取り付けられたGMのアプリのマーケットプレイス(Marketplace)を使ってドーナツを買うことができるようになっている。

ダンキンドーナツによると、2017年末のモバイル端末からの注文の割合は、全体のわずか3%だったという。その開始以降の具体的な注文数については明かしてはくれなかったが、Googleアシスタントには40億人ものユーザーがいる。ダンキンドーナツのデジタルマーケティングとイノベーション部門のバイスプレジデントを務めるシェリル・カプラン氏は、この新たなGoogleとのパートナーシップによって、ダンキンドーナツが求めるスケーラビリティを得ることができたと語る。

「私たちのモバイルオーダーのプラットフォームは、立ち上がってからまだ日が浅い。そのモバイルアプリをダウンロードして毎日使うような人は、そう多くないことは分かっている」と、カプラン氏は語る。

会員プログラムという障壁



モバイル端末からの注文を増やすうえで障壁となっているのは、スケーラビリティだけではない。顧客がモバイル端末から注文をするには、ダンキンドーナツの「DDパークス(DD Perks)」というロイヤルティプログラムの会員になる必要があるのだ。入会するためには、ダンキンドーナツのモバイルアプリをダウンロードするか、ウェブサイトで名前やeメール、郵便番号を登録する必要がある。DDパークスでは、すべてのロイヤルティプログラムと同様にデータの収集が可能だが、消費者にとっては、注文ができるようになるために入会が必要なのは煩わしい。2014年にサービスがはじまって以来、800万人が入会したが、日々300万人の利用者がいるこの企業にとって、これは非常に少ない数字だろう。

DDパークスの利用にはハードルがある。ポイントを貯めるためには、ダンキンドーナツのポイントカードに直接入金したうえで、そのカードの残金からドーナツを購入する必要がある。つまり、消費者にとっては支払い方法の選択肢がひとつしかないことになる。ダンキンドーナツは、顧客が自由に支払い方法を選べるような仕組みを実験中であり、これによって、ロイヤルティプログラムへの入会の敷居は下がるだろうと、カプラン氏は語る。

モバイルオーダーは、顧客の店舗での待ち時間を減らすというダンキンドーナツ全体としての目標に貢献していると、カプラン氏は語る。利用者にとっても便利で、店舗のコスト削減にもつながる。通常の店舗購入と比べると、30%の時間短縮が可能で、フランチャイズ店舗が従業員を雇うコストも下げられると、カプラン氏はつけ加えた。

新しいコンセプトストア



また、ダンキンドーナツは事前のモバイルオーダーを促すような新しいコンセプトストアの実験もはじめている。2018年1月、アプリを通じて事前に注文した顧客向けのデジタルキオスク、つまりモバイルオーダー専用の受け取りスペースやドライブスルーのある店舗を、マサチューセッツのクインシーにオープンした。カプラン氏によると、このコンセプトを試すために、このような店舗を、30の異なる形でアメリカ全土にオープンする予定だという。

モバイルオーダーの利用者数はまだ少ないが、それでも希望の光は見えている。例として、店舗が集中している都市部での利用率は急速に増えており、このような地域では注文全体の20%がモバイル端末からのものだという。ダンキンドーナツによると、こうした都市部での利用者は定着率も高く、モバイルオーダーを試しているDDパークスの会員の70%以上が、このサービスを続けて利用しているという。

具体的な数字は明かしてはくれなかったが、全体として、このモバイルオーダーに注力する取り組みには満足していると、カプラン氏は語る。「市場にコミットを続けて認知度が高まることで、利用者もさらに増えると見ている」と、カプラン氏は語る。

音声を使ったさらなる計画



カプラン氏によると、ダンキンドーナツは音声(認識)を使ったさらなる取り組みを計画中で、Google Homeで利用できるようにGoogleと協議しているという。カプラン氏は音声を「ネクストフロンティア」と表現し、Amazon Alexaからのモバイルオーダーにも興味を示している。

「デリバリーやAmazonプライムが急速に広まったことで、顧客行動のオンデマンド化が大きなトレンドになっている」と、カプラン氏は語る。「私たちの使命は、アクセシビリティを拡大することだ」。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:Conyac)