人類に多くの“警告”を遺して亡くなった、スティーヴン・ホーキング博士

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 3月14日、“車いすの天才物理学者”として知られるスティーヴン・ホーキング博士が亡くなった。博士は晩年、「人類に残された時間はあと100年」と、多くの“警告”を繰り返し発していた。

◆硫酸の雨が降り、気温250℃……地球は金星のような環境に!?

 人類最大の脅威の一つとしてホーキング博士が指摘していたのが、地球温暖化だ。2017年7月、英国放送協会(BBC)のインタビューで、地球温暖化防止の国際的な合意「パリ協定」から、米国トランプ政権が離脱を表明したことを博士は厳しく批判。米国の離脱で地球温暖化が加速、このまま人類が二酸化炭素(CO2)を排出し続けるなら「気温250℃、硫酸が降り注ぐ、金星のような高温の惑星へと地球を追いやるだろう」と警告した。

 金星は地球よりも太陽に近く、大気のほとんどがCO2で構成されている。そのため、温室効果で太陽からの熱をためこみ、平均気温400℃という灼熱地獄だ。つまり人類が温暖化対策を怠り、このままCO2を排出し続ければいずれ地球も金星のような環境になってしまうというのだ。

 博士は「地球温暖化は後戻りできない転換点に近づいている」と憂慮。2016年9月にも、ノーベル賞受賞者30人を含む365人の科学者による、パリ協定離脱反対の公開書簡に名を連ねている。

◆温暖化による影響がさらに温暖化を加速

 恐ろしいのは、地球の「金星化」の兆候がすでに始まりかけていることだ。山本良一・東京大学名誉教授は「北極圏の海氷が年々減り続け、このままでは、温暖化による影響がさらに温暖化を加速する『ポジティブ・フィードバック』が始まってしまう」と語る。

「カナダやロシア、フィンランドなど8か国による共同研究によれば、このまま気温上昇が続けば、2040年には夏になると北極圏の海氷がすべて解けてしまうと予測されています。海氷には巨大な鏡のような効果があり、太陽光を反射して熱を逃がしているのですが、氷が解けてしまえばより多くの熱をため込むようになってしまいます。

 そうなると、シベリアの永久凍土や海中のメタンハイドレード(氷状のメタンガス)が解け、CO2の20倍以上という強力な温室効果ガスである『メタンガス』が大量に放出され、温暖化がさらに加速してしまいます。すでに永久凍土からのメタン放出は始まっていますが、極地の氷が失われることでより大量のメタンが放出、さらに深刻な状況になるでしょう」(同)

※『週刊SPA!』4月3日発売号「ホーキング博士の遺言 人類はあと100年で滅ぶ」より

取材・文/志葉玲 写真/時事通信社