春うらら、花見の季節である。でも、韓国は春になっても花見どころか中国側から吹いてくる黄砂によって「PM2.5(微小粒子状物質)アラート」に恐れおののいている。

 韓国で黄砂問題は深刻だ。黄砂は大気中に浮揚しながら様々な有害物質と結合し、体に蓄積されたり、慢性肺炎のような感染性疾患を起こす場合もある。

 さらに、狭心症、脳卒中などの心血管疾患を起こし、がんの発症率も高めることとなる。

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外出を避け、保護メガネ・マスクの着用を

 そういった深刻な疾病ではなくても、アレルギー性結膜炎になったり、アレルギー性鼻炎、中耳炎、脱毛、呼吸器疾患などになる危険性が高くなる。

 こうしたことから、災難から韓国人を守るために作られた「国民災難安全ポータルサイト」には、黄砂(PM2.5)に対する災難行動要領として下記のように書かれている。

 家庭内においては、

1.窓を閉め空気清浄機や加湿器で室内の空気をきれいにする。
2.外出はきるだけ控え、外出する際は、保護メガネ、マスク、長そでを着用する。
3.黄砂にさらされた野菜、果物、魚、農産物は、十分洗浄してから調理する。
4.2次汚染を防ぐため食品加工や調理の際、手をきれいに洗い、調理道具や器具が汚染しないように管理して周辺環境を清潔にする。

 また、自治体レベルでは、大気汚染測定網の拡充、ディーゼル車削減、車両2部制運行、エコカーの拡大、事業場においてのフライアッシュ(石炭を燃やした時に生じる灰)防止などを実践している。

 しかし、効果はあまりない。加えて、京畿道(首都圏)内のPM2.5測定所はあまり人が住んでいない場所に設置され、そもそも役に立っていない。

 こうなると、個人レベルで自分の身は自分で守ろうという意識が芽生え、黄砂用マスクや空気清浄機は韓国人の必須ツールとなっている。

マスクでは足らず防塵マスクを着用する人も

 ネット通販の大手「Gマーケット」の3月23〜25日のマスクの売り上げは前月同期比1117%と急増、同期間空気清浄機の売り上げも882%増となった。

 空気清浄機は100万ウォン(約10万円)を超える高価な家電のため、空気清浄機を手作りする人たちも増えている。ユーチューブで検索すると、扇風機やフィルターなどを利用した空気清浄の作り方を紹介する動画がいくつもある。

 マスクは、保健用マスクでKF確認(PM2.5遮断の効果確認)、医療や食品加工現場で使われるマスクではKF80、94、99(数字はPM2.5遮断率)が推奨されている。

 しかし、それでは飽き足らずSNSではペットのトリマーや彫刻家たちが使っている防じんマスクを使用し、それが一種のファッションになりつつある。

 空気清浄機やマスクは確かにPM2.5防止に役に立ちそうだが、あまり信憑性のない話も広く伝わっている。食品にこの手の話が多い。

 例えば、韓国人が大好きな「サムギョプサル」を食べるとその脂が気管支の埃を洗い流してくれるという。しかし、実際には科学的に全く根拠がない。

 一方、セリ、海藻類、サバ、梨、にんにく、ミカンは効果があるとされている。セリは血液を浄化し、PM2.5による炎症を鎮める効果があり、海藻類はカリウム成分が豊富でデトックス効果がある。

 オメガ3脂肪酸の豊富なサバは呼吸困難などを改善し、にんにくに含まれるアリシンとビタミンB1は、気管支の炎症に効く。

恨みは中国に向かう

 ミカンは咳をしずめPM2.5の中の細菌の活動を抑える。水をたくさん飲んで体外に有害物質を排出することも大事だという。

 だが、サバを食べるために室内で焼くと、PM2.5が増えるという研究結果もあるため、家では焼かない方がいいようだ。

 さらに、黄砂に対する恨みは中国へ向けられている。

 SNSでは、中国が北京の空気をきれいにするために工場を山東半島に移していて、PM2.5をわざと韓国側に流しているという話がまことしやかにささやかれている。

 そこで、青瓦台(大統領府)のホームページには、PM2.5の主犯である中国に対して抗議し、山東半島に位置している工場を閉鎖してほしいという要請が20万件以上に達している。

 このことを気にしてか、文在寅大統領は3月30日、青瓦台で楊潔篪(ヤン・チエチー)中国外交担当政治局委員を接見し、「韓国のPM2.5が国内的な要因もあるけれど、中国の要因もあるだけに韓中間で緊密な協力を願う声が韓国の国民の中で上がっている」と強調した。

 韓中は、今年の6月中国北京で韓中環境協力センターを設立し、両国のPM2.5が韓国や北東亜に及ぼす影響を共同研究する計画だという。

 ちなみに「韓中環境協力センター」は、昨年12月韓中首脳会談で議論されたが、設置のための協議は全く進んでいなかった。

 国レベルでどんな議論が交わされるにしても、すでに韓国民は我慢の限界に達してしまっている。

 少しでも空気のきれいな中国側から離れている東海岸(例えば、平昌五輪が開催されたカンヌン(江陵)など)に引っ越しを考えたり、せめて週末はそこで過ごそうとする人たちが急速に増えつつある。

筆者:アン・ヨンヒ