新入社員に辞令を交付し、握手を交わすトヨタ社長

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 大手企業が2日、新規学卒者を迎えて入社式を開いた。業績が好調な企業が多く、日経平均株価が高値圏で推移する一方で、働き方改革や人手不足など取り組むべき課題があり、世界経済も不透明感が増す中、将来を担う若手に期待を寄せる。

 トヨタ自動車が愛知県豊田市で開いた入社式には1812人の新入社員が出席した。豊田章男社長は「変化の激しい時代だからこそ、『らしさ』とは何かを追い求めなければならない」と強調。トヨタらしさとしてトヨタ生産方式(TPS)と原価低減、そして格闘する運動部を挙げ、「皆さんには『トヨタらしさ』に加えて、『自分らしさ』を磨いてほしい」と訴えた。今回の入社式では式典後に高級車ブランド「レクサス」のスポーツカー「LFA」のエンジン音を響かせるなど、従来とは趣向を変えて実施した。

 日立製作所の入社式には昨秋以降に入社した約720人が参加した。東原敏昭社長兼最高経営責任者(CEO)は会社として「変えてはならないもの、変えるべきものがある」と語り、開拓者精神など「創業の精神を忘れないでほしい」と述べた。一方、デジタル化やグローバル化で環境が激変する中、「お客さまの立場で課題を考える『共感力』を磨いてほしい」と訴えた。

 3月に創業100周年を迎えたパナソニックでは、746人の新入社員が入社式に出席。津賀一宏社長は「極端な表現だが、これまでの100年は創業者が示した道だ。次の100年、我々の手で新しいパナソニックを築き上げよう」と呼びかけた。

 持ち株会社への移行と商号変更後、初めての入社式を実施した三井E&Sホールディングス(旧社名・三井造船)は、田中孝雄社長が「新生三井E&Sグループのいわば創業メンバーとして誇りを持って社会人生活に取り組んでほしい」と述べ、「自分の殻に閉じこもらず、積極的に外部との関わりを持つこと」「とことん考え抜くこと」などを新入社員に求めた。

 行名を三菱東京UFJ銀行から改めた「三菱UFJ銀行」の三毛兼承頭取は、「世の潮流やお客さまの変化を的確に捉え、今までに無かったような自由な発想で果敢にチャレンジし最適なソリューションをお客さまに提供する、そうしたグループを共に創ろう」と訓示した。

「再発防止」誓う企業
 一連の品質偽装問題が経営トップの引責辞任にまで発展した神戸製鋼所も神戸本社(神戸市中央区)で入社式を行い、新入社員401人のうち総合職を中心とする156人が出席した。1日付で就任した山口貢社長は祝辞で「再発防止策の遂行に全身全霊を傾ける」と決意をあらためて表明。新入社員らにも「職場でおかしいと感じることがあれば率直に声を上げ、新しい息吹をもたらしてほしい」と注文した。

 さらに新入社員の心得として「仕事はコミュニケーションの積み重ねだ」との意識を忘れないよう求めた。

 三菱マテリアルの竹内章社長はあいさつの冒頭、子会社5社で発覚した製品検査データ改ざんなど一連の品質問題について「多大なご心配をお掛けすることとなり、申し訳なく思う。早期解決に向け、グループの総力を挙げて対応している」と陳謝した。入社に際しての心掛けは「安全と健康を最優先する」「三菱マテリアルの社員として誇りと自覚を持つ」「自己研さんに努める」の3点を強調。

 川崎重工業の金花芳則社長は新幹線「のぞみ」の台車枠に亀裂が入った問題について「モノづくりで失った信頼は、モノづくりを通じて長い時間をかけて少しずつ取り戻していくしかない」と述べ、「社員一人一人が製品の安全性の重要さを再認識し、モノづくりを行っていくことが重要」との見方を示した。再発防止の徹底を誓った上で「愛情のこもったモノづくりをしなければ同様の問題が起こる恐れがあるということを覚えておいてほい」と語った。

 また経営再建中の東芝が開いた入社式では、1日に就任した車谷暢昭会長兼CEOが「日本を代表するグローバル企業に復帰させるべく、経営に参画していく」と自らの役割を語った。今後の企業の方向性については「グローバル企業として世界に貢献できる企業になること」と述べ、「事業や運営のあり方を大胆に変えていく必要がある」との認識を示した。実現するには「私一人では変革は起きない。皆さんとともに努力したい」と新入社員に奮起を促した。