マザー工場に位置付けられるマツダ防府工場見学に胸が高鳴る

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2017年10月にCX-5の生産が開始されるなど、マツダ株式会社の主要工場の一つが、山口県防府市にあるマツダ防府工場だ。「西浦地区〈第1工場〉」は事前予約すれば一部を見学できるが、今回、メディア向けに「西浦地区〈第1工場〉」の中でも通常立ち入ることができない「プレス加工区」や「西浦地区〈第2工場〉」を公開する工場見学ツアーが開催された。普段見る機会の少ない貴重な工場内部をお届けする。

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マツダ防府工場は乗用車を生産する「西浦地区」と変速機を製造する「中関地区」に分けられ、さらに「西浦地区」は第1工場と第2工場に分けられる。ちなみに「中関地区」ではマツダの「SKYACTIV TECHNOLOGY〈スカイアクティブ テクノロジー〉」を用いる「SKYACTIVエンジン」のトランスミッションを年間約114万ユニットが生産される。ATとMT合わせて7タイプ195機種を量産し、マツダが生産する実に約8割の車に搭載されているという。

■ 立ち入り禁止その1 プレス加工区

まず紹介するのが、鉄板からボディのプレス成型を行う「プレス加工区」。マツダ自慢の生命の躍動を感じさせる“魂動(こどう)デザイン”はここで作られていくわけだが、こちらで注目なのが、マツダが確立した“プレス部品の多数個同時加工”技術だ。大型のトランスファープレスを導入し、サイドフレームの一体形成や同時に複数の部品のプレス加工が可能になり、作業が高効率化。

また、同時加工は歩留りの改善につながるなど、高精度ラインも実現しているという。加工工程は機械によるほぼ自動化がなされており、次々と鉄板が加工されていく様は圧巻の一言だ。

■ 立ち入り禁止その2 塗装加工区

“魂動(デザイン”と並ぶマツダの代名詞といえば、深く美しくボディの造形美を輝かせる“ソウルレッドクリスタルメタリック”だ。職人が13回も手で塗って実現したコンセプトカーのボディカラーを量産工程で実現し、それを塗布するのが「塗装加工区」だ。鮮やかなメタリックの光沢感を出すためにアルミ粒子の向きが揃えられ、さらに粘度が制御しやすい塗料を開発。金属に近いシルバーを下地として塗装したその上に微妙に異なる赤を重ね塗るという工程を経て、美しい“ソウルレッドクリスタルメタリック”が誕生するのだ。

また、通常、塗装の際に行われる焼き付け工程を独自技術の“3WetOn(スリーウエットオン)塗装”を用いることで実施しないのもポイント。これにより塗装工程にかかる時間が短縮されている。なにより「塗装加工区」で驚かされるのが、1ラインでマツダ防府工場で生産される全ての車種にボディカラーの塗装を可能にしている点だ。これは、作業の効率化とともに設備投資にかかるコストの削減という面でもメリットが大きい。

今回、紹介した2つの加工区は特別な機会でもない限り、目にすることは難しいが「西浦地区〈第1工場〉」の一部は見学することが可能だ。見学可能日は月曜から金曜の9時30分からと13時30分からのそれぞれ約90分間。1名からでも対応可能で、年間約1万人、これまでに約55万2千人が訪れているそうだ。工場見学を希望する場合は、希望日の6か月前から2週間前までに電話での申し込みが必要となる。

普段、乗ることはあっても造られる工程を目にする機会は少ない車。興味のある方は、大人の社会見学を計画してみてはいかが?(東京ウォーカー(全国版)・安藤康之)