買い物依存から一転、物を捨てまくる35歳主婦「どうせ満たされないのに…」

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「今日はこのスカートが売れて……あとはこのバッグも売るつもり」

 都内に住む主婦の智子(仮名・35歳)さんが見せてくれたのは、ほとんど新品に近いブランド物のバッグ。一カ月前まで服とバッグに溢れていたクローゼットは、今では半分ほどの量になったといいます。

 筆者が知る限り、以前は毎月のように服やバッグを買っていた智子さん。自身のことを「買い物依存症」とまで言っていた彼女が、なぜ急に断捨離を始めたのでしょうか。その理由は1年前に遡るといいます。

◆姑の干渉、息子の受験、ストレスが重なり買い物依存症に

「この1年間、息子の中学受験のためにすべての遊びを我慢してきました。年に2度行く国内旅行も主婦友との飲み会も断ち、息子の塾の送り迎えやお弁当作り、家庭教師の応対などに時間とエネルギーを費やしたのです。

 私は元々、受験には乗り気ではなかったのですが、姑がうるさく言っていたので。都内有数の進学中学校に入れるために、この一年間努力してきました」

 そもそも、智子さんが買い物依存症になったのは姑との関係にあるといいます。

「何でも干渉してくる姑と、必ず姑の味方に付く夫。そのストレスを買い物で満たしていた感じです。受験が始まる前は仕事をしていたので、お給料はすべて買い物につぎ込んでいました。多い時は月15万円ほど、一回しか使ってない服もバッグもたくさんあります。それでもクローゼットに溢れる物を見て満足していたんですが……」

 しかし先月、息子は受験を失敗。春からはすべり止めの中学校に通うことになったそうです。

「第二志望の学校ですが夫の出身校なので姑は喜んでいましたけど、私の気持ちは晴れないままです。その日以来、今まで執着していた物に急に興味がなくなって、断捨離を始めました」

◆モノから人間関係まで、捨てたい欲求が止められない

「ブランド物のバッグも好きなアーティストのグッズも、フリマサイトで売ったり捨てたりしてすべて手放しました。物だけでなく、大学時代に付き合っていた人と連絡を取っていたんですが、すべて削除しました。前までは読み返していたりしていたのに。

 こうなった理由は自分でも分からないんですが、いくら売っても捨てても満たされないんですよね」

 買い物依存症からミニマリストに。これにはどういう心理が隠されているのでしょうか? 昭和の漫画・駄玩具コレクターで、『ぼくらの60〜70年代宝箱』の著者でもある黒沢哲哉氏に話を聞いてみました。

「買い物依存症から急に断捨離を始めるというのは、割とあると思います。もともと物が欲しいわけではなく、精神的なストレスを買うことか捨てることで満たしているんだと思います」

 では、智子さんのように捨てても捨てても満たされない場合、どのような対処をとればよいのでしょうか。

「物を捨てるだけでなく、物が減ったことを自分に認識させるために、片付けることが重要です。整頓しなくてもいいので、物が減った分だけ空間を作ると気持ちが落ち着くと思います」

 なるほど、「減った」「捨てた」ということを、視覚的にもハッキリ認識できるようにするのですね。こうして見ると、買い物依存と極度のミニマリストは、紙一重なのかもしれません。

 ストレスの原因を取り去るなり、自分なりの着地点を見つけるなりできれば理想的ですが、思い通りにはいかないのが人生。せめて一時の衝動に左右されず、本当に欲しい物を見極められたらいいですね。

【カワノアユミ】
 東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。裏モノ・夜ネタを主に執筆。編著書に『旅の賢人たちが作った最強ナビ』(辰巳出版)など。4月8日に新刊『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』発売。Twitter:@ayumikawano