「同感」のキーワードでつながると、一気に気持ちの距離が縮まりますが…(写真: kikuo / PIXTA)

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。

新年度が始まり、新しい環境で、新しい人に出会ったり、春の陽気と共に気分もやる気もアップして、新しいことに取り組む予定のある方も多いかと思います。

最初が肝心という言葉もありますが、スタートダッシュが失速に結び付くこともあります。今回は、そうならないための秘策をお伝えします。

急に親しくなるのはNG

「出会ったばかりなのに、もう何年も付き合っているような気がする」

「知り合って間もないのにすごく親身に声を掛けてくれて、世の中にはこんなに親切な人がいるのかと心を許してしまう」


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会ってすぐに意気投合ということも、あるとは思います。ところが慣れない環境で、心を許せる相手が見つかったことに喜びを感じるのも束の間、大きな落とし穴になりかねないので、要注意です。人との関わり方について、以下のプロセスの特徴を知っておくことが大切です。

(1)同感してくれた相手に安心する

共通項を見つけた相手に信頼感を持つという段階です。同じ出身校、出身地。同じ路線に住んでいるという物理的なものから、なぜここに来たのか、どういう経緯があったのかといった身の上話、趣味や嗜好などの一致。新しい場所だと「私も初めてなんです」などの「緊張感」の共有といった、その場での思いなど、「私も同じ」「わかる」という「同感」のキーワードでつながると、一気に気持ちの距離が縮まります。

そして、同じ思いを共有してくれた相手に対して「信頼」という本来長い時間を費やして育む感情に似たものを感じてしまう傾向があります。そうするとより一層、自分の状況や気持ちなど、深いところまでの話をすることに抵抗感がなくなります。さらに、そこでの共通項を見いだすことによって、相手への安心感は高まります。一時の盛り上がりがあっても、その後、距離を保ってお互いに尊重し合えれば問題ないのですが、職場や学校など、物理的に顔を合わせる時間が密にあると、この段階から一気に次のステップへ移行しやすくなります。

(2)同感してくれた相手に依存する

もともと人間関係は少なからず依存関係です。相手に何かを求めたり求められたりすることで関係性が成り立ち、そのこと自体は何の問題もありません。ただ、この依存関係が深くなりすぎると問題が起こります。要するに相手への要求度合いが高まることによって、さらに自分の意向や気持ちに同感してほしいという思いが強まり、相手への束縛感情や嫉妬なども芽生えるのです。家族や恋人関係は、必然的に依存が高いので、この関係性は不自然ではないのですが、職場仲間や単なる友人がこの状態になると最初のうちこそよくても、徐々に負担となる可能性が高まります。

(3)同感してくれた相手は攻撃対象になる

依存が高まると、会って食事をしたりする頻度だったり、相談の回数だったりが増えるという物理的なことに加え、依存対象の相手に攻撃的になる傾向があります。実は、依存と攻撃の関係は、表裏一体と言ってもよく、依存度が高いと攻撃性が高まるのです。

家族は他人よりも依存度が高いので、つい乱暴な言い方をしてしまったり、攻撃的な言動を取ってしまったりすることはありませんか。

要するに、依存度が高まると相手から攻撃を受けやすくなるのです。ですから、時間や心のゆとりがなく、相手の要求に応えられなかったり、相手の意見に対し同意できないことなどがあると、急激に攻撃される可能性が高まります。あんなに親しい仲だと思っていたのに、急に手のひらを返されたように冷たい仕打ちを受ける、ということが十分にあり得るのです。自分の内面や深いところまで話していると、それをネタにうわさ話を広められたりといった「ハラスメント」に発展することさえあるので、注意が必要です。

出会ってすぐに仲良くなることが悪いことでは決してありません。ただ、距離を早く詰めてくる人、必要以上に親切にしてくれたり、優しく接してくれる人は、相手に対しての依存傾向が高い割合が多くみられます。新しい環境だと、ほかに相談する人もいないので、こちらもその人に依存してしまうと、後々、不自然な関係性に苦しむことになりかねません。

信頼は、急速に深まるものではなく時間をかけて深めていくものだということを念頭に置いておくことが大切です。

新しいことを始めるときに注意したいこと

また、この時期、「新しい資格に挑戦」「趣味を始める」「コミュニティに参加する」など、何かを始めようと動き始めた方も多いかと思います。

ストレスの元となるストレッサーは、「嫌なこと」「悲しいこと」のようなマイナス要因だけでなく「変化」という刺激です。

年度替わりで、それでなくても自分自身や職場環境、家族の生活リズムが変わるとき、普段以上に変化という刺激にさらされています。そんな中で、さらに新しいことに取り組むのは、たとえ「楽しみ」なことであっても、実は大きなストレス要因となります。

心から楽しんで、気持ちを解放できる場所なら問題ありませんが、そこでの緊張、学習などの精神的、物理的負担、もしくはうまくいかないジレンマや、ちょっとした不満がその後の失速につながる可能性があります。せっかく始めたことも、早ければゴールデンウィーク明けあたりから、気持ちが乗らなくなる、夏前には諦めてやめてしまうということになりかねません。

やる気のあるときは、無理なスケジュールを組んでしまったり、気持ちだけで乗り切ろうとしてしまいがちです。気持ちが前に向き、新しいことをするチャンスではあると思いますが、自分の生活ペースを大きく変えるような無理なスケジュールを組まないようにすることが大切です。最初は、物足りない程度でも続けていくことが大切かと思いますので、自分が思うよりも、ゆとりを持ったプランを立ててください。

物事には、ご縁とタイミングもあるので、それを生かしていくことも大切ですが、急激な変化は長続きをしないことも多いので、力を入れすぎたり、気持ちだけが先行しないよう、穏やかなシフトアップを心掛けてください。