日銀3月短観、人手不足や原材料高で業況改善一服 設備投資は強め

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[東京 2日 ロイター] - 日銀が2日発表した3月全国企業短期経済観測調査(短観)では、改善を続けてきた企業の景況感が一服した。業況判断DI(良い─悪い)が大企業・製造業で2年ぶり、同非製造業で1年半ぶりの悪化となった。人手不足が一段と強まる中で、原材料高や円高も企業の慎重な見方につながっているようだ。もっとも、景気拡大を背景に需給の引き締まりは続いており、2018年度の設備投資計画からは省力化投資が本格化してきた様子もうかがえる。

<先行き慎重、円高の影響も>

大企業製造業は足元プラス24で前回の昨年12月調査に比べて2ポイント悪化、同非製造業はプラス23で同じく2ポイント悪化した。大企業の景況感は、ロイターの事前予測に比べて製造・非製造業とも下回る結果となった。

水準としてはいずれもリーマン・ショック前と遜色のない高水準。先行きは大企業・製造業がプラス20、同非製造業もプラス20とさらに悪化が見込まれている。

日銀調査統計局幹部によると、大企業製造業の景況感の悪化は素材業種が中心で、企業からは原材料価格の高騰を指摘する声が出ている。同非製造業では、人手不足や仕入れ価格上昇の影響が指摘されている、という。

雇用判断DI(過剰─不足)は人手不足感の一層の強まりを示しており、規模別、業種別いずれも不足超過幅が拡大。全規模・全産業ではマイナス34と前回に比べて不足超幅が2ポイント拡大し、1991年11月調査のマイナス36以来の不足超となっており、中小企業を中心にバブル経済末期に匹敵する水準となっている。

さらに足元の円高も輸出企業で先行きの業績懸念につながっている可能性がある。景況感は多くの業種で先行き見通しが悪化しており、18年度の経常利益計画は上期を中心に全規模で製造・非製造業ともに減益見通しとなった。

事業計画の前提となる大企業・製造業のドル/円想定為替レートは18年度が109.66円と、17年度の110.67円から円高方向が見込まれている。

それでも足元の106円台より円安水準にあり、SMBC日興証券のチーフマーケットエコノミストの丸山義正氏は「企業が発表する来期の収益計画では徐々に前年比マイナスの数値が出てきているが、1ドル110円より円高が続くようなら、先行きも当然、ネガティブな影響が出てくるだろう」との見方を示した。

<需給は引き締まり>

一方、明らかに活発化しているのが設備投資だ。

大企業・全産業の2018年度の設備投資計画は前年比2.3%増となった。民間調査機関の予測の同0.6%増を上回り、期初計画としては大企業も中小企業も過去3年と比較して最も高い。人手不足に伴い、投資の中身は効率化だけでなく、人の代替となるロボット投資などが増えているもようだ。

また、内外経済の回復持続を背景に商品などの需給も引き締まり傾向が継続。国内での製商品・サービス需給判断DI(需要超過─供給超過)は大企業・製造業がゼロ、同非製造業がマイナス5となり、いずれも前回調査から需要超過方向の動きとなった。

大企業・製造業の海外での製商品需給判断DI(同)もプラス4と需要超過方向の動きが続いている。

*内容を追加しました。

(伊藤純夫 中川泉)