「平日ランチセット」(1,750円)の「マルゲリータ」(手前)と「ゼッポリーニと小魚のフリットのサラダ」(奥)、飲み物付き/(C)KADOKAWA 撮影=奥西淳二

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御用邸や富裕層の別荘地のイメージが強い葉山の店は、商品・サービス・空間などすべてにおいて高質な店舗が多い。そのため、一つのこだわりに特化し、その道を極める“ブレない”姿勢がこの地で成功する鍵となっている。オーナーの個性とこだわりが感じられるビーンズショップとピッツェリアを紹介しよう。

【画像を見る】コート・ダジュールなどの海辺リゾート地を意識したという店構え/(C)KADOKAWA 撮影=奥西淳二

■ コーヒーへのこだわりがギュッとつまったビーンズショップ「inuit(イヌイット) coffee roaster」

コーヒーを愛する店主・乾さんが「コーヒーで日々の日常にちょっとの贅沢を足してもらいたい」という思いから「inuit coffee roaster」をオープンしたのは2017年6月。葉山の中心地でもある森戸海岸そばという好立地に出合えたのは、乾さんが学生時代によく森戸の海を訪れていて土地勘があったことと、隣接のレストラン「The Gazebo」のオーナーと旧友であったことがきっかけ。勤めていた東京のIT企業を退職し、鎌倉に移住して思いきってはじめたこのビーンズショップで、昔から大好きだったコーヒーに囲まれて充実した日々を過ごしている。

店の一番の特徴はウィンドウ越しにも観覧できる大きなロースター。週の半分はこれで豆の焙煎をおこなうところから朝がはじまる。外にも豆の香ばしい香りを漂わせながら、1kgずつ、3種の豆を焙煎してオリジナルのブレンドに仕上げる。「こうして自家焙煎をすることで、新鮮で高品質な豆を皆さんにリーズナブルに提供することができます」と言いながら、火力と時間に神経を注ぐ。

店で取り扱う豆の種類はオリジナルブレンド3種を含めて常時約10種(200g 1,400円〜)。店内奥のスペースでいれたてを飲むこともできる。コーヒーは注文があってから1杯ずつ、重さと時間を測りながらいれ、苦味や酸味などの好みがあれば、豆選びの相談にも丁寧にのってくれる。

イートインできるスイーツも、とことんコーヒーに合うようにセレクトされた「ショコラテリーヌ」や「NYスタイルチーズケーキ」など濃厚なものばかり(各500円)。もちろん、カップもこだわって選びぬかれたものばかり。「飲みくちが薄くてカップの中が白いとコーヒーが際立ちます」という、乾さんのお気に入りはウェッジウッドのセット。

店に流れるゆっくりとした時間は、コーヒー好きはもちろん、ちょっとひと息つきたい時にも重宝されている。昨夏、東京オリンピックに向けて葉山にキャンプインしていた英国のセーリングチームの関係者も滞在中にはよく訪れて、厳しいトレーニングの前後の休息にしていたそう。また、最近は「一人でも多くの方に家でも上質の豆のおいしいコーヒーを味わっていただきたい」と、ネットショップも開設。小さな町・葉山の小さなビーンズショップが発信するこだわりのコーヒーは今後もさらに広まっていきそうだ。

■ 欧州の海辺リゾート気分で本格ナポリピッツア味わえる「Pizzeria il Veliero(イル ベリエッロ) HAYAMA」

相模湾の広い海を見ながら気持ちのよいドライブができる国道134号線。この国道添いには湘南・鎌倉エリアから有名店がいくつも立ち並び、デートレストランの激戦ゾーンだ。ここに「ぜいたくな海辺リゾートの空間を作りたかった」と、オーナーみずからが設計デザインも手がけたというこだわりのピッツェリア「Pizzeria il Veliero HAYAMA」がオープンしたのは17年12月。

アパレルビジネスも手がけ、ナポリに詳しいオーナーが現地の職人を日本に呼び寄せて特注で作ってもらったという一点モノのピザ窯で焼くピザが自慢。「窯はピザの命だから」という言うオーナーみずからピザを焼くことも。

そのほか、店の細部にまでちりばめられたナポリのこだわりは、タイルやインテリア、食器、テラスのパラソルに至るまで。良質なものに囲まれて海を見ながら食事ができるレストランとして観光がてらのデートはもちろん、舌の肥えた近隣住民からも好評判だ。

平日ランチはフリットまで付いたボリュームたっぷりのサラダに、ピザかパスタを各3種より選び、飲み物が付いて1,750円。シェフは鎌倉近辺の人気店でも経験を積んだベテランで、佐島のタコを使ったマリネなど地元食材も上手に取り入れている。

湘南から三浦にかけての湾岸ドライブの際にはぜひとも立ち寄ってみたいピッツェリアだ。

【取材・文/鈴木秋穂、撮影/奥西淳二】(横浜ウォーカー)