学生がVR教材に向けたラット撮影を行う

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 お茶の水女子大学と富士通は、理科教育に使う動物解剖実習の代替となる仮想現実(VR)教材を開発した。動物愛護の観点から小中学校で脊椎動物の解剖実習ができないことを考慮し、産学連携の新しいプロジェクトの一環で、学生がラットを解剖・撮影して3次元画像を構築した。腹部から肝臓を持ち上げたり、小腸を引き出して長さを実感したりできる。富士通は数年以内に実用化する計画だ。

 小中学校の教科書では現在、イカなど軟体動物の解剖写真のほか、人間の器官・内臓のイラストなどしか掲載されていない。米国ではVRが普及しているが、身体イラストから臓器を取り出すタイプが主流となる。

 今回のVR教材なら動物の腹部をハサミで切り進み、横隔膜を立体的に眺め、胃が肝臓の下に隠れているのを確認するといった体験が再現できる。実際の実習のような準備や教諭の習熟も必要ない。

 富士通は以前から日本の教科書に合った教育用VRシステムの開発を検討していた。これに対してお茶の水女子大は、企業の資金で試作品を開発、納入する産学連携の新プロジェクト「オチャ・ソリューション・プログラム」を企画し、その第1弾として同社から250万円で受託した。

 情報生物学の専門や理科教員の志望を持つ理学部生物学科の学生が参加。サイエンス&エデュケーションセンター(SEC)の生理学や画像を専門とする教員の下で手がけた。

 影をなくし、奥の臓器も撮影できるようラットを置く回転台や面発光照明を工夫。体毛も約15センチメートルの全身も明瞭な画像にする深度合成の手法も用いた。連動するテキスト教材と合わせて試作品を完成させた。