関空のパワーは圧倒的(スカイミュージアム=同社公式ページより)

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 関西で主要3空港の一体運営が4月1日に始まる。関西国際空港(関空)と大阪国際空港(伊丹空港)を運営する関西エアポート(大阪府泉佐野市)が神戸空港の運営を同日に神戸市から引き継ぐ。訪日外国人の増加を背景に利用者が急拡大している関空に対し、規制が強く残る神戸空港をいかに活性化するかが課題だ。3空港運営を軌道に乗せられるか、関西経済への影響は大きい。

関空は3年連続過去最高
 「3空港を合わせ、2018年度は5000万人を目指す」(関西エアポートの山谷佳之社長)。2017年(暦年)の関空の利用者数は2798万人と3年連続で過去最高を更新した。伊丹空港の利用者数は1559万人、神戸空港は304万人で、いずれも前年を上回っている。

 関空の利用者数が前年比11%増と大きく伸びているのは、使い勝手のいい格安航空会社(LCC)の便数が増え、韓国や中国、台湾などアジアからの訪日外国人需要の拡大に応えてきたためだ。大阪を含めた関西地域の持つ観光資産の魅力などが外国人を引きつけている。

 関西エアポートは22年9月末までの5年間で、関空・伊丹の両空港に合計946億円を投資する。このうち約8割を占める関空では、今後の大きな顔となる第1ターミナルを中心に改修する予定だ。伊丹は東京五輪・パラリンピックが開かれる20年へ向け、商業施設を含めた大幅改修を行っている。

 関空と伊丹は保安検査の自動化による旅客の待ち時間削減や、施設内への搬送・清掃ロボット導入を通じた業務効率化も進める。神戸も含めた3空港のIT投資も活発化する方針。ITを駆使し旅客動線を把握する空港運用データベースも構築中だ。このデータを分析し、今後は関西3空港で効率的な人員配置へ生かすなど、活用を検討している。

神戸の活性化カギに
 “アジアのハブ”を目指す関空と、国内線が主力の伊丹空港と神戸空港。関西エアによる1社運営の実現により、3空港の役割分担を改めて考える時がきている。3空港の最適な在り方を議論する場として、地元自治体や経済界などで構成する「関西3空港懇談会」が4月以降に再開される見通しだ。

 現在の3空港の位置付けを決めたのは05年の同懇談会での合意。当時は利用が低迷していた関空のてこ入れを最優先にし、運用時間を関空の24時間に対して伊丹は7―21時、神戸は7―22時に制約。1日の発着枠も伊丹370回、神戸60回とした規制が今も継続する。

 神戸商工会議所の家次恒会頭(シスメックス会長兼社長)は、「神戸空港は海上空港で24時間運営が可能。将来的にもっと柔軟な運営体制にする余地がある」と強調する。神戸は大阪や京都と比べ、訪日外国人需要をうまく取り込めていない。このため、発着枠や運用時間の拡大、一部国際線の誘致など、神戸空港の規制緩和を望む声は地元で強い。

 だが、現時点で2500メートルの滑走路が1本しかない神戸空港は、長距離の旅客・貨物便など大型機材の導入が難しいとみられる。規制緩和を議論する前に、ピーク時間外の便数の増加策など、空港の稼働率向上へ地道な対応も求められる。

“一つの空港システム”を模索
 関西エアポートの空港運営は関空・伊丹が44年、神戸が42年という長期にわたる。同社は、オリックスと仏バンシ・エアポートが主要株主として各40%ずつを出資する。民間の発想を大事にしつつ、3空港それぞれの魅力を高める施設改修にも地道に取り組む構えだ。

 関西エアポートの山谷社長は今後の3空港のあり方について、「一つの空港システムとして発展させる」と述べるにとどめている。当面、従業員の相互融通や間接部門の共同化などによるコストダウンや生産性向上が考えられるが、同社は“一つの空港システム”の具体像と、それがもたらすメリットを早期に示す必要がある。