夫婦別姓を選べないのは、世界で日本だけ。なんでなの?

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 2018年3月14日、東京と広島の事実婚夫婦4組が、夫婦別姓での婚姻届を受理されることを求めて、裁判を起こしました。

「私は別姓にしたくないから関係ない」と思いがちですが、弁護団のひとり、打越さく良(うちこし・さくら)弁護士は「あらゆる人に関係あること」だと言います。それってどういうこと?

◆ポイントは、自由が認められる国にするかどうか

 日本は結婚したら夫婦が同じ姓を名乗らなければいけない、と民法で決められています。その背景には、「夫婦は同じ姓じゃなきゃ意味がない」「絆が壊れる」「子供の姓はどうするのか」などなど、夫婦・家族は同姓であるべきという考え方があります。

 筆者も、結婚したときは相手の姓になることに何の疑問も持ちませんでした。むしろ「名字が変わることで昔とは違う自分になれる」「結婚したことが周囲に一目瞭然」などと誇らしい気持ちだったように思います。

 しかしいざ姓を変えるとなると、とてつもない嫌悪感が襲ってきました。夫のことは好きでしたが、夫の家族は単なる他人です。その「家」に入るような感覚が、イヤでたまりませんでした。「姓を変えるのが嫌だ」と夫に訴えましたが「俺は男だから嫌だけど女だからいいだろ」と言われ、自分の感情を夫にすら理解されない淋しさを感じました。

「選択的夫婦別姓」は、同姓にしたい人は同姓に、元の名字を使いたい人は別姓にできる、より自由度の高いシステムになるということです。これは同姓で結婚をしたい人も含め、あらゆる人にメリットがあると、打越先生は言うのです。

「他人の自由を認めることは、将来的に自分に返ってきます。『自分は夫婦になったら同姓がいい』と思っていても、違う意見の人を尊重することで、社会はうんと過ごしやすくなるはずです。

 そういう社会なら、いずれあなたがなにかをしたくなったとき、周りの人たちもあなたを尊重して応援をしてくれるでしょう」(打越先生、以下同じ)

◆世界で日本だけ…国連から何度も勧告を受けている

 さらに日本は、今すぐにでも夫婦別姓を認めなければならない状況にあると、打越先生は言います。

「それは日本が1985年に批准している『女性差別撤廃条約』に違反しているためです。これは1979年に国連で決まった条約で、男女が同一の権利を確保し、女性に対する差別の根絶を目的としたものです。

 この委員会から、日本は繰り返し勧告を受けています。その内容は『女性の再婚待機期間の短縮や法定婚姻年齢の引き上げ、夫婦別姓や婚外子に対する差別の撤廃』などです。

 このうちの夫婦別姓以外については動きがありました。残るは夫婦別姓を勧告に従って取り入れることが急務なのです」

 夫婦別姓を法律で認めていないのは、今や、世界で日本だけなのだそうですね。

「夫婦同姓が定められていたアメリカは1970年代に、ドイツは1993年に、オーストリアとスイスは2013年に別姓が認められました。タイでは夫婦同姓強制の条文を違憲とする判決を受けて、2003年に選択的夫婦別姓を実現しました。別姓か同姓かだけではなく、結合姓も選べるなど、選択肢が多い国もたくさんあります。

 世界各国で夫婦別姓が推し進められてきた理由は、同姓を強いることで妻が自分の姓を失うことになり、女性差別につながるという国際的な判断なのです」

◆別姓の場合、「子供の姓」は各国でそれぞれのルールが

 夫婦が別姓にしたら、子供の姓はどうするのかと言っている人もいますね。

「その点様々な法制があります。子どもが生まれるときに都度決める国もあれば、父母の結合氏にしている国、父の氏にしている国もあります。複数の子の氏を統一するところもあれば、統一しないところもあります。