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 テスラ・モデルSリコール12万3千台。2016年4月以前に生産したものが対象だ。テスラとしては過去最大のリコール、販売台数の4割とのことだ。これによって、6月末のモデル3生産を軌道に乗せる期限を危ぶむ空気もある。

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 リコールの内容は、寒冷地で使われる路面凍結防止剤がパワーステアリングのモーター固定ボルトを腐食させる懸念があるとのこと。発表された内容を見る限りにおいて、それほど重大なリコールとも思われないが、テスラの現在の量産のもたつきが心配される中で、重大視されるのであろう。この欠陥は、現場・現物主義で発見できる問題で、過去に量産品を世界に売ってきた経験者が知っていることだ。イーロン・マスクにとっては「思いがけない」問題であろうが、それほど珍しい問題ではない。しかし、量産品でこの問題を起こすと致命傷になりかねない。

 重大視されるのは、イーロン・マスクCEOが、これまで信頼性を度外視した量産、販売体制をとってきたことへの不信感であろう。製造業においては最も基本的な顧客への信頼関係だが、IT、金融関係者が持つ、ビジネスでの概念からは欠落している部分だ。イーロン・マスクが、製造業の働きの中で、「製造・生産技術は膨大なシステムの正しい起動を必要としている」ことに気づいてほしい。ゲームソフトを作るようにはいかないのだ。

 製造・生産技術をフル稼働して「品質保証体制」を確立維持するのは、人間の心の問題もあり、ビジネスにおいては最大の力量を必要とする仕事で、GDPの中身を見るなら最大のところなのだ。それはなぜか?かつてのリーマンショックを起こすなどファンドが理解できていない概念で、大変危険に感じる部分だ。イーロン・マスクには、出来るだけ早くこのことに気づいてもらい、モデル3の生産を軌道に乗せてほしいものだ。

 日本では国土交通省が所管しており、リコールが実施されるとみられる。ボルトの交換処置は、1時間程度の容易いもののようだ。イーロン・マスクにとっては「はすっぱな問題」と感じているかもしれないが、購入者にとっては事故にもなりかねない重大なことであろうと認識してほしい。

 何度も言うが、ソフト開発が出来ても、「動く車」を造ることはほとんどできていないのだ。投資家は、もう一歩我慢してイーロン・マスクを支援できれば、大きな業績を彼は残せるだろう。投資の感覚だけでなく「先駆者の勇気を支えるボランティア精神」で臨んでほしいものだ。そうすれば、テスラはホンダになれるかもしれない。