ESG投資、CO2排出ゼロが企業の重要評価軸に

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 企業の環境評価で世界的な影響力を持つ非政府組織(NGO)の英CDPは、経済産業省が創設し2018年度から取引が始まる「非化石証書=用語参照」を“二酸化炭素(CO2)排出ゼロの価値”として認定した。日本企業は非化石証書分について「再生可能エネルギー利用電気」とCDPに回答できる。海外では再生エネの活用が環境先進企業の証だが、日本は再生エネ由来電気の調達手段が限られる。CDPの決定は、ESG(環境・社会・企業統治)投資における日本企業の評価を高める可能性がある。

 CDPは世界803の機関投資家が支援する巨大NGO。世界5000社以上の大企業に気候変動対策を問う質問状を送り、採点している。ESG投資におけるCDPの環境評価は、世界基準となっている。

 非化石証書は、固定価格買い取り制度(FIT)で再生エネ発電所から調達した電気の環境価値。経産省は4―5月に非化石証書の初回の入札を実施する。証書を落札した電力会社は発電で生じたCO2を、少なく調整して国に報告できる。

 今回の認定によって、電力会社から非化石証書を組み合わせた電気を購入した企業は、証書分を「再生エネ利用」とCDPへ回答できる。購入した100万キロワット時が火力発電所で作られた電気でも、100万キロワット時相当の証書を持っていれば「CO2排出ゼロ」と回答できる。

 一方、企業が温室効果ガス排出量を国に報告する日本の地球温暖化対策推進法では証書分がそのままCO2削減分に換算されない。発電で発生するCO2量の全国平均値で証書による削減効果を決めるためだ。

 電気全量の再生エネ化を目指す企業組織「RE100」も、証書分を再生エネ利用として容認する方向だ。同組織は米グーグル、米アップルなど131社(うち日本企業5社)が加盟し、再生エネを大量調達している。

【解説】
 ESG(環境・社会・企業統治)投資では、再生可能エネルギー活用や二酸化炭素(CO2)排出削減が企業の評価軸となっている。ただ、現状では、固定価格買い取り制度(FIT)による再生エネ由来電気の購入者には、CO2削減価値は認められない。

 再生エネ発電所から電気を買い取る費用は、全ての需要家から電気代と徴収する賦課金で賄っており、価値は需要家全体が所有しているからだ。4月からは価値が非化石証書に移り、電力会社が入手できるようになる。

 今でも企業がFITに頼らずに再生エネを調達できるが、高コストだ。経済産業省とともにCDPに証書を説明したみずほ情報総研の中村悠一郎コンサルタントは「CDPに報告する企業にとっては前進」と語る。

 ただ、CDPはできる限り再生エネ電気を直接、調達することなどを望んでいることも経産省などに伝えた。CDP日本事務局の高瀬香絵プロジェクトマネジャーも「(経産省の非化石証書は)理想的な形ではないが、GHGプロトコル(CO2の算定基準)を満たした」と、条件付き承認との見方を示した。
(文=・松木喬)
【用語】非化石証書=発電時にCO2を排出しない電気の環境価値を取引可能にする。電力会社は、再生エネなどの非化石電源比率を高めたと国への報告ができる。2018年度から大量に出回る非化石証書が世界的に再生エネと認められないと、日本企業は世界の潮流から取り残される懸念があった。