プラットフォーム大手のFacebookがつまずいている。あるアプリメーカーが数百万人分のFacebookユーザーのプロファイルデータを抜き取り、ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)に渡していたことが明らかになったからだ。だが、ごく一部を除くほとんどのマーケターは、Facebookに対してアクションを取るかどうか明らかにしていない。

3月23日、家電機器を手がけるソノス(Sonos)は、Facebook、インスタグラム(Instagram)、Google、およびTwitterから広告を1週間引き上げ、その浮いた広告費(金額は不明)を人権関連イベントの「ライツコン(RightsCon)」に寄付すると発表した。同社は、これらのプラットフォームにどれくらいの広告費を支出しているのか明らかにしていないが、Facebookに費やしている金額は「かなりのもの」だと述べている。

ほかにも、Facebookから広告を引き上げた広告主がいる。たとえばモジラ(Mozilla)だ。同社でCOOを務めるデネル・ディクソン氏は、Facebookへの支出を「一時的に停止」したことをブログで明らかにした。ドイツの銀行コメルツバンク(Commerzbank)も、同様の措置に踏み切ると表明している。

YouTube危機との違い



ただしソノスは、Facebookをはじめとするプラットフォームの利用を完全に停止することはないと、ブログのなかで述べている。その理由は、基本的には彼らを信頼しているからだ。「Facebookやインスタグラムなどのプラットフォームは、顧客にリーチし、企業としての我々のミッションを伝えるのに実に効果的な手段だと我々は考えている。個人の生活で、友達や家族とのつながりを維持するのに効果的なことはいうまでもない」と、同社はブログに記している。

メディアエージェンシーのノーブル・ピープル(Noble People)でCEOを務めるグレッグ・マーチ氏は、こうした動きを「ブランド戦略としての行動」だという。2017年にYouTubeで問題が起こったとき、AT&Tなどの大手ブランドは、YouTubeとGoogleから広告を引き上げるか、少なくとも広告費を減らす措置を講じた。しかし、ケンブリッジ・アナリティカのスキャンダルは、「尻に火がつくような状況」をもたらしてはいない。「Facebookのおかげで、ブランドが近いうちに痛手を受けることになるかどうかはわからない」と、マーチ氏はいう。「だが、YouTubeに掲載された不適切な動画の横に自社の広告が表示されれば、ダメージを受けることはわかっていた」。

ソノスなどの企業が、Facebookのスキャンダルへの対応策を表明した背景には、何らかのブランド戦略があるとみて間違いない。ソノスはプライバシーを重視している企業であり、ネットの中立性といった問題やオープンなインターネットといった考え方について発言してきた。「彼らは行動を起こすのが早い。口でいうだけでなく。行動で示しているのだ」と、マーチ氏は語った。

「広告主との問題ではない」



しかし、ほかのブランドはほとんど口を閉ざしたままだ。ある大手メディアバイイングエージェンシーの担当者は、現時点でFacebookから距離を置く動きはみられないと、米DIGIDAYの取材に対して語っている。

また、別のメディアバイヤーも、Facebookから広告を引き上げたクライアントはいないと話す。「Facebookの問題はユーザーとの問題であり、広告主との問題ではない」と、この人物は語った。

さらに別のメディアバイヤーは、ブランドが広告を引き上げることがあるとすれば、ユーザーがFacebookから離れたときだけだ。過去の例を信じるならば、彼らが広告を引き上げることはないと述べている。「今回の出来事より前に起こった(Facebookの)スキャンダルで、そうした動きが見られなかったことを考えれば、今回もそうなることはないだろう」。

Shareen Pathak(原文 / 訳:ガリレオ)