仏マクロン大統領が「AI立国」宣言、無人自動運転も解禁へ

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近年テクノロジー分野への投資が活発化しているフランスで、また新たな動きが始まった。3月29日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、AI(人工知能)分野のテクノロジー開発支援に向け15億ドル(約1600億円)を支出すると宣言した。

この資金によりフランス国内でのAI研究を進め、他のEU諸国や米国や中国の水準に追いつくことを目標としている。

現在40歳のマクロンはAIリサーチの国家的プログラムを立ち上げ、トップレベルの人材を世界から招きたい意向を明らかにした。また、興味深いことにマクロンは、フランス国民のデータを公的機関や企業がシェアする場合に、”前向きな姿勢”が重要であると述べている。

EUでは「一般データ保護規則ルール(GDPR)」の運用が今年の5月から始動する。マクロンはGDPRのルールを遵守しつつ、自動運転や先進的な農業などの分野で、データ活用の研究を進めることが重要であると述べている。

昨年5月にフランス大統領に就任したマクロンは次のように話した。「公的なデータは現状よりもオープン化され、アクセス可能なものになるべきだ。データの共有によりAI領域の研究を前進させ、農業分野でも役立つものにできる」

テクノロジー領域ではこのところ、フェイスブックの個人データの不正利用が大きな話題になっているなかで、マクロンの発言は大胆なものにも思える。

「データ活用においては、適切なデータ収集と不適切なデータ収集の違いを明確にする必要がある」とマクロンは付け加えた。

パリには世界最大のスタートアップ養成所

自動運転に関連する規制についても、マクロンは2019年に改訂を行うと話している。新しい規制のもとで、フランス国内でのレベル4の自動運転試験(人間のドライバーが乗車しないもの)が解禁される。

「フランスはこれまで自動運転の実験や開発において、他の諸国に遅れていた。かつてフランスは製造業分野の先進国だったが、80年代からは隣国のドイツに大きく差を広げられた。しかし、今からでも状況は巻き返せる」とマクロンは話した。

マクロン政権下でフランスは、テクノロジーのスタートアップのハブ的機能を高めつつある。労働関連の規制の緩和も進み、昨年7月には世界最大のスタートアップ・キャンパス「Station F」がパリにオープンした。

マクロンはフェイスブックやグーグル、サムスンのAI部門で、数多くのフランス人エンジニアが活躍していることを指摘し、数学やコンピュータサイエンス領域でフランス人が優れた才能を持っていると話した。

サムスンは昨年、フランスにAI部門を開設し100名以上のフランス人スタッフを雇用した。グーグルもAI部門の「DeepMind」の拠点をパリに開設している。

「AIは今後、我々の暮らしに大きな革新をもたらすことになる。労働市場の今後の動向を考える上でもAIは非常に重要だ。AIが仕事を奪うなどと恐れる必要はない。イノベーションは国民に、新しい時代の幸福をもたらすのだ」とマクロンは話した。