製薬大手一角の第一三共は2016年度、「医療用医薬品」で念願の「追い越せ武田(薬品)」を実現し第1位となった。そして今17年度(18年3月期)も、2.6%の微減収ながら「12.4%の営業増益、23.4%の最終増益」計画で立ち上がった。大型薬だった「オルメサルタン(高血圧症治療薬)」の特許切れ(減収・減益要因)は、織り込み済みの立ち上がりだった。

 それが10月31日の中間決算と同時に通期計画を、「0.5%の減収(9500億円)、15.7%の営業減益(750億円)、6.5%の最終減益(500億円)」に大幅下方修正した。大きな要因は米社と開発・販売契約を結んでいた「CL-108」(麻薬性鎮痛剤)の開発を、米国で医療用鎮痛剤の乱用が社会問題になったことから中止したことだった。約278億円の減損計上に追い込まれたのである。

 だが株価は逆に11月の初値2600円から右肩上がりの動きに転じ、2月7日の4241円まで急伸した。「下方修正時に同時に発表した、最大500億円の自社株買いが好感された」と解説される。確かに至る20年度の中計で同社は「年間配当70円以上、総還元性向100%以上」を目標としており、自社株買いは「目標」をたがえない要因と見ることができる。

 しかしそれだけで株価は、かくも急伸するものか。

 同社は中計でも強調しているように「制がん剤」への注力・シフトに舵を切ろうとしている。その象徴的商品として「DS-8201」を旗艦品とし位置付けている。ADC(抗体薬物複合体)を活かした進行性大腸がん向けの制がん剤であり、「中長期的にみて年間数千億円を売り上げる公算が高い」とされる。ただ「今年に入り第2相臨床試験で最初の患者に投与を開始したばかり。どんなに早くても発売は20年度。中計への寄与は限られる。中計の見直しが検討され始めている、という声もある」とされているのも事実。

 しかし、どうか。中計への貢献度は薄くても「数千億円規模の新薬登場」が第一三共に好循環を生み出す、株価はそう呟いていると聞こえるが。