アトランタではこれまでに、200の「シティIQ」が市内主要箇所に設置されているLED街灯に据え付けられており、郊外を含む都市圏には300以上のインターネットに接続可能なデジタルインフラ化された信号機が設置されている。

 既にイベント時の駐車場周辺の交通整理や学校周辺における通学時間の速度制限などに利用されているが、さらに、交通量や歩行者状況に合わせて瞬時に信号を調整したり、将来的に自動運転車への情報送信なども行うスマート道路のモデル開発プロジェクトとして、同市はジョージア工科大学と共同で市内の2.3マイル(約3.7キロ)にわたるノース・アベニューをスマート道路とする「スマート・コリドー・プロジェクト」を2017年9月に披露した。

 イースターリング氏によると、現在は4G回線利用のため、信号機から情報を受信して自動運転車が停車するまでの走行距離は4フィート(1フィート=約0.3メートル)だが、将来5G回線による通信が実現すれば、停車までの走行距離は0.1フィートになるという。

 また、AT&Tが電力会社のジョージアパワーと提携して2017年12月から整備を進めている、電線を利用した高速データ送信システム「エアギグ(AirGig)」は、今後普及が見込まれる5G回線の基盤となる予定だという。

 このほか、イースターリング氏の講演では、AT&Tが2018年1月に発表した鉄道や道路の安全性向上に資する新たなソリューション(ストラクチャー・モニタリング・ソリューション)も紹介された。

 米国では多くのインフラが老朽化し、約半数の橋が築後50年以上経過している中、道路や鉄道の劣化状況を目視で確認しているが、この新たなソリューションは、リアルタイムかつ遠隔でインフラを監視できるもので、アトランタを含む幾つかの都市での実験的導入を予定しているという。

 なお、当セミナーでは、イースターリング氏に続いて、AT&Tの戦略パートナーである日立製作所の代表執行副社長などを務め、現在は日東電工取締役の八丁地隆氏も講演に立ち、今日の米国IoTビジネスを支える日系企業テクノロジーなどについて紹介した。
(文=米国・ラマース直子)