KDDIは「LTEーM」を活用したマンホール監視も実証した

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 低消費電力で広域無線が可能な通信方式「LPWA」。IoT(モノのインターネット)向けの通信として注目が高まる中、携帯大手3社は、無線局免許が必要なセルラー系LPWAの提供を本格化しようとしている。免許不要の「ローラWAN」や「シグフォックス」に対し、既存のLTE基地局を利用して全国をエリア化できる強みがある。こうした中、KDDIはセルラー系の一つ「LTE―M」の提供を1月に開始し、先陣を切った。

 「一から話を聞かせてほしい」「契約を結びたい」―。「LTE―M」による回線サービスの提供を始めた1月末、KDDIビジネスIoT推進本部に所属する原田圭悟ビジネスIoT企画部長のメールシステムは「LTE―M」に関する問い合わせであふれた。

 原田部長は「IoT活用に関するPoC(概念実証)を終え、横展開に向けた通信方式としてセルラー系のLPWAを待っていた顧客が多かったようだ」と反響の大きさを推察する。
 
 セルラー系LPWAは「LTE―M」と「NB―IoT」の二つが代表格だ。いずれも低消費電力で広範囲をカバーするが、最大通信速度は「LTE―M」の毎秒1メガビット(メガは100万)程度に対し、「NB―IoT」は同数十キロビット程度。

 「NB―IoT」は通信中に移動する用途には対応しないが、機器管理や故障検知など少量のデータを低コストで通信する用途では最適とされる。

 その中でKDDIが「LTE―M」を先行して取り扱い始めた背景には、国内メーカーの需要がある。原田部長は「国内メーカーはIoT端末の販売から保守までを含めてサービスを提供する考え方が強い。

 保守を行うためには端末を提供した後でもソフトウエアを更新できる機能が欠かせない。『NB―IoT』の通信速度では更新に何時間もかかるため、向いていない」と説明する。

 すでに電力用計器メーカーの東洋計器(長野県松本市)が「LTE―M」の活用を決めた。「LTE―M」に対応したLPガスメーター用の送信機を開発し、2019年頃にLPガス事業者向けサービスを展開する。LPガス事業者がガスの使用データなどを基に契約者向けの新サービスを提供できるようにする。

他の携帯大手も体制整備
 一方、KDDIは「NB―IoT」の提供も近く始める予定。NTTドコモやソフトバンクも「LTE―M」と「NB―IoT」による通信サービスの提供体制を準備している。また、免許不要の「ローラWAN」は、すでに携帯大手3社が取り扱っている。

 ローラWANは利用者自らが基地局を構えて自営網を構築できる。このため業界関係者は「工場などIoTを局所的に利用する需要やPoCでの利用に適している」と口をそろえる。

 LPWAの通信規格は低消費電力で広範囲に通信できる共通の強みを持つ一方、それぞれ特徴がある。携帯大手各社はLPWAの多様な通信規格に対応し、顧客の利用用途に応じて適材適所で各通信規格を提案できる体制を整える構えだ。