(イラスト:ヤギワタル)

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 なぜ「無能」なアイツが昇進してしまうのか?「ピーターの法則」を知っていれば、その原因も、対処法もわかる――。
 言わずと知れた世界的ベスト&ロングセラー『ピーターの法則』。1969年の刊行から半世紀、世界中で読み継がれてきた、まさに「伝説の名著」です。この度、「新装版」として新しく生まれ変わった『ピーターの法則』から、その魅力をご紹介。今回は、無能なはずの「あの人」が昇進してしまう怪奇現象「強制上座(かみざ)送り」の実態を解き明かします。

無能なアイツが昇進してしまう恐るべきカラクリ

 ピーターの法則を聞いても、これを素直に受け入れたくないと思う人が少なくありません。なんとか階層社会学の欠点を見つけようと必死になり、なかには実際に見つけたと考える人もいるようです。でも、ここで警告しておきます――見かけだけの例外にだまされてはいけません。

「ウォルト・ブロケットの昇進はどう説明がつくんだ? ヤツは絵に描いたような無能でお荷物だったから、経営陣は上のポストに祭り上げたんじゃないのか?」

 これはピーターの法則に当てはまらないのではないかということで、よく受ける質問の一つです。この現象から詳しく見ていきましょう。ちなみに、私はこれを「強制上座送り」と呼んでいます。

 まずは質問です。ブロケットは無能なポストから有能なポストへ異動したでしょうか? 答えは「ノー」です。彼はたんに、生産性の低いポストから別の生産性の低いポストに移されただけです。また彼は今の地位で、以前より大きな責任を負うことになったでしょうか? 「ノー」です。彼は新しいポストで、以前より多くの仕事をこなすことになるでしょうか? やはり答えは「ノー」です。

 強制上座送りは「擬似昇進」なのです。周囲にはその真意がわかるのに、ブロケットのような社員のなかには「出世だ!」と喜んで、疑うことを知らない者もいます。しかし、擬似昇進の主たる狙いは、階層社会の外にいる人間を欺あざむくことです。はたで見ている人をだませれば、作戦は大成功というわけです。

 しかし、目の肥えた階層社会学者はだまされません! 階層社会学的に言えば、昇進と認めてよいのは、有能さを発揮していたポストからの異動に限られるのです。

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