困難な時代を生き抜くヒント、3.11を哲学から問い直す

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 こんにちは。鈴木寛です。早いもので、東日本大震災から7年がたちました。

 3月になるとメディアでは震災特集が頻繁に組まれます。特に今年の3月11日は日曜日だったこともあり、さまざまなメディアが「震災7年」をテーマに力を入れた企画がみられました。いまなお復興がはたせてない人、これまでの取り組みや反省点、問題点の指摘、今後の課題……。さまざまな論点がありました。これらの特集は震災の記憶を風化させないためにも、必要なことだと思います。

いまなお被災地に重くのしかかる
リスク・トレードオフの問題とは?

 私が心から尊敬している一ノ瀬正樹・東京大学大学院哲学研究室教授が執筆された『福島はあなた自身 災害と復興を見つめて』(福島民報社)が出版されました。私が帯に推薦文を書かせていただきました。

 <正直、ほっとしている。ついに、東日本大震災の真の教訓を後世に伝える本物の書が出版された。福島原発事故をめぐり、数多の著作や番組が世に出たが、当時、渦中にいた私は、どれも大事な核心が抜け落ちていることに、忸怩たる思いを持ち続けてきた。兎に角、多くの人々に本書を読んでほしい。多くの尊い犠牲と筆者たちの無私で献身的な努力によって生まれた教訓集だ。災害だけでない、人は、突然、重大な決断を迫られる、そんな時に、悔いのない決断をするために本書を座右においてほしい。住民避難を推奨した専門家、迫ったメディア、決めた政治家、空気に逆らえなかった人々・・どこで、何を、間違えたのか?「リスク・トレードオフ」が考慮されなかったのは何故か?その実相が明らかに。東京大学・慶應義塾大学教授 元文部科学副大臣(当時)鈴木寛>

 リスク・トレードオフとは「あるリスクを減らすと、別のリスクが増大する」ということです。一ノ瀬教授のことは以前から存じ上げていましたが、震災以降、親しくなりました。震災対応で、私が判断に迷っていたときに、多くの知恵を先生の著作やお話からいただきました。クライシスに向き合うために、哲学がいかに大切か改めて痛感しました。

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