米IT大手は巨大化しすぎたのか 難局が示唆するピークアウトの兆候

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英データ分析会社ケンブリッジ・アナリティカ(CA)による個人情報の不正使用の一件で、フェイスブックに関する批判的な報道が相次いでいる。だが、同社はここ数年、これ以外にも複数の問題で批判を浴びてきた。

2016年の米大統領選挙へのロシアの介入から、殺人や自殺の様子を捉えた動画が相次ぎフェイスブックライブで配信された件まで、同社にはこれまで、いくつもの問題が浮上している。ただ、CAの問題はとりわけ憂慮すべきものだ。フェイスブック幹部の中には同社の行動を認識していた人たちもいると報じられている。それにもかかわらず、阻止するための対策をほとんど講じていなかったというのだ。

ただ、データの取り扱いの問題について批判にさらされているのは、フェイスブックだけではない。欧州連合(EU)は昨夏、グーグルが自社製品に有利になるよう検索結果を不当に表示していたとして、同社に27億ドル(約2870億円)の制裁金を科した。同社は米国内でも昨年、ミズーリ州から同様の問題を指摘されており、州の独占禁止法(反トラスト法)に違反している可能性があるとして、調査を受けている。先の米大統領選では、ユーチューブに投稿された動画が陰謀説を広めることにつながっているとの批判も受けた。

こうした一連の問題について、フェイスブックとグーグルの幹部らは何年も前から、アルゴリズムの欠陥を問題の理由に挙げてきた。そして、自社のプラットフォームを悪用する人たちを排除できないことについて繰り返し、思想の自由な表現を促進することに伴う必要悪だと説明してきた。だが、こうした自己防衛は大半の場合において、広報活動のための無意味な主張だ。

こうしたことから浮かび上がるのは、ソーシャルメディアはすでに、「ピークを越えた」のだろうかという疑問だ。見方によっては、これはばかげた質問だ。フェイスブックとグーグルは事実上、デジタル広告市場を独占している。そのおかげで、両社は実質的に紙幣を発行しているようなものと言える。

つまり、彼らはテクノロジー業界において現時点で有利な位置づけにあるだけでなく、モノやサービスを新たに生み出すことによって、あるいは最前線にいる企業を飲み込むことによって、向こう数十年にわたって経済に力を与えていくことになるだろう同業界の複数の分野(自動運転車やIoT:モノのインターネット、人工知能、太陽光発電など)を支配し得る態勢にあるのだ。

一方、彼らの大きな強み(巨額の富とそれを惜しみなく使う意思)が、”当然の報い”につながる可能性もある。フェイスブックへの調査開始を受け、各国の政治家や規制当局は、企業にそれほど巨大で強力になることを許すことは理にかなっているのかという点について、より真剣に考え始める可能性がある。そうなれば、これまでその影響力が調べられたことがないもう一つの大手、アマゾンにも疑問の目が向けられることにもなり得る。

各国政府はどの時点で、「もうたくさんだ」と言い始めるのだろうか。EUは米国ほどためらいを感じることなく、こうした巨大企業の独占的立場を覆すために、彼らを追求し始めるだろう。各社の規模を最小化し、消費者データを保護するための規制が次々と導入されることになるかもしれない。それは、フェイスブックやグーグルの広告プラットフォームの収益性の低下につながる。

絶頂期は永続しない

ユーザーが20億人を超えたフェイスブックは、”フル稼働”の状態に近づき始めている。1日当たりの利用者数も、すでに伸び悩み始めている。CAの問題発覚を受け、巨大な広告と操作のネットワークに関わることに居心地の悪さを感じる人も増えている。フェイスブックは私たちが気付くよりもずっと早い時期で、”飽和点に達していた”ことになるのかもしれない。ソーシャルメディアの概念が生き残ることは間違いないとしても、恐らく現在ほど集中型のものではなくなるだろう。

マイクロソフトやデル、インテル、シスコがそれぞれ絶頂期にあった1990年代初め、各社はその後も長年にわたり、その力を維持するかのように思われた。だが、いずれもそうはならなかった。各社は現在も適合性を保ち、業績を残しているが、その勢力はかつてとは比べ物にならない。グーグルやフェイスブック、アマゾンにも今後、同様のことが起きる可能性はある。