マーケターは、オンラインキャンペーンをパーソナライズする予備プランが必要かもしれない。データ分析会社ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica:以下、CA)によるFacebookデータの流用疑惑を受け、プレシジョンマーケティング(precision marketing:Wiki)が危険にさらされているからだ。

Facebookと同業他社にとって、規制される可能性がこれほど高まったことはない。Facebookの創設者マーク・ザッカーバーグ氏は、どのようにしてユーザーのプライバシーを保護しているのか、大西洋両岸の規制当局の前で説明するよう求められている。ユーザーのデータを広告主に販売するFacebookのような企業をベースに構築されたオンラインエコシステムに対して、規制が大きな予期せぬ影響をもたらす可能性がある。

Facebookをあからさまに拒絶している広告主はまだいない。米DIGIDAYがインタビューしたエージェンシー幹部8人によると、規制の脅威がどうなっていくのか、広告主は様子見しそうだ。その一方で、彼らは自社のキャンペーンやアプリによるFacebookのデータの利用状況を調べると見られる。

マーケターがやるべきこと



「Facebookがデータの利用方法や広告製品の仕組みの変更を迫られたら、広告主があまり魅力を感じなくなるかもしれない」と、調査会社eマーケター(eMarketer)の主任アナリスト、デブラ・アホウ・ウィリアムソン氏は指摘する。

最終的には、「データだけでなく良心に従って、決定を下さなくてはならない」と、あるエージェンシー幹部は語る。Facebookでキャンペーンを行うために雇われたが、データ流用について懸念を口にした顧客はいないという。「世界でもっとも効果的な2大サイトで広告を実施する代償として、この2大サイトを監視する準備を整え、どのように協力していくか、方針を定める必要がある」。

個人データを適切な形で取得・処理するデータ戦略の策定は、マーケターの「やることリスト」のトップに躍り出た。

「CMOであれば、Facebookデータのこれまでの利用状況に注目し、どういう戦略に移行すれば、リーチをまだ獲得しながら責任を一切負わずに済むか、いま確認している」と、匿名を条件にインタビューに応じた別のエージェンシー幹部はいう。

広告主は熟考している最中



Facebookの株価の下落から、インターネットにおけるプライバシーを調査する人の増加まで、CA疑惑は、悪習が消費者の信頼をどこまで損ねる恐れがあるのかを示している。一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:以下、GDPR)は、こういった出来事の当然の結果であり、ブランドにとって、かつてないほど重要性が高まっている。

人工知能(AI)を使った広告サービスを提供するガムガム(GumGum)の欧州事業担当マネージングディレクター、エド・プリーディー氏によると、ブランドは現在、「利用しているデータのソースを適切に精査すると同時に、同じようにデータに依存することなく、関連する広告メッセージを提供するのに、コンテンツ連動型ソリューションがどんな形で役立つ可能性があるのか調べている」という。

Facebookのデータが現在どのように扱われ、将来どう扱われる可能性があるか、広告主は熟考中だ。Facebookのデータ慣行の精査によって、プラットフォーム全体でターゲティングや測定を行う動きが鈍っている。Facebookの広告主が、利用するデータを減らしたり、サードパーティの測定へのアクセスを制限したりすれば、ブランドが広告に対して喜んで支払う料金に影響し、結果的にFacebookの最終損益に影響しかねない。そうなっても、Facebookは乗り越えると観測筋は確信している。規制されても、Facebookは依然として規模が大きすぎるだろうし、彼らのような豊富なデータを提供する代わりのテック大手を見つけるのにブランドは苦労するだろう。

「広告主は、変化を強いる責任をFacebookやGoogleと共有している。不買すると脅すよりも、プラットフォームと協働するほうが、大きな影響力を持てる」とエージェンシー、バイト・ロンドン(Byte London)の創業パートナーであるアレックス・ミラー氏は語る。

Googleにも影響は及ぶのか?



規制されれば、Facebookだけでなく、その同業者も苦しむことになる。ウェブには、個人のデータから利益を得ている企業が散在する。実際、CA疑惑への世界的反発のなかで、Amazon、Apple、Netflix(ネットフリックス)、Googleの株価も下落した。

Googleの欧州・中東・アフリカ事業および業務担当プレジデントであるマット・ブリッティン氏は、こうした混乱期には「技術を信頼する消費者のことが心配」だと語る。Googleの広告事業への規制によってさらされる恐れがあるリスクに対処するにあたって、同社が広告主に販売するインテントデータと、競合企業のもっとユーザーベースのデータとの違いに同氏は言及した。Googleは、ソーシャルとは異なり、「ユーザーが誰なのか知らないし、気に掛けていない。我々が知っているのは、ロンドンのキングス・クロスにいる誰かがランニングシューズを検索しているということだ」と、同氏は説明する。

「Googleについていえば、広告価値が生まれているのは、商業的に価値がある答えに意図を結びつけることができるからだ。Googleは、ユーザーに関するグラフ化されたソーシャルデータは保有せず、企業がCRMのような自社データをそうした検索パターンと結びつけるのを可能にしている」とブリッティン氏は語った。

Seb Joseph(原文 /訳:ガリレオ)
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