なぜ会談にナンバー2が参加しなかったのか(写真:ロイター)

北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の訪中に関して、北朝鮮側の同行者への関心が高まっている。中でも、「実質的なナンバー2」とされる党副委員長の崔竜海(チェ・リョンヘ)氏に対するさまざまな憶測が流れている。


当記事は「ソウル新聞」掲載記事の日本語訳です(一部、理解を助けるための加筆をしています)

朝鮮中央通信は金委員長の訪中に夫人である李雪主(リ・ソルチュ)氏が同行し、崔氏や朴光浩(パク・グアンホ)、李洙墉(リ・スヨン)、金英哲の各副委員長、さらに李勇浩(リ・ヨンホ)外相や趙甬元(チョ・ヨンウォン)、金成男(キム・ソンナム)、金炳鎬(キム・ビョンホ)の各党副部長などが随行したと発表した。北朝鮮を代表する高官らがすべて同行していることになる。

崔副委員長の姿がなかった理由とは?

これに対しては、国際社会で初舞台を踏む金委員長が最高指導者としてふさわしい訪問団として整えようとしたためという分析がある。国家首脳同士の会談にふさわしい格式を整えるためだ。だからこそ、北朝鮮を代表する高位級人士はすべて同行したというわけだ。

しかし、中国の習近平国家主席と金委員長との会談では、北朝鮮側には李洙墉、金英哲、李勇浩のみが同席した。崔副委員長の姿がなかったのはなぜか。

崔副委員長は昨年10月、党組織指導部長になった。この役職は、幹部の人事権と統制・家熱など国内統治のための権限をすべて取り扱う。したがって、名実ともに金委員長とその妹である金与正(キム・ヨジョン)の次に来る権力者となった。だからこそ、金委員長の訪中では最も核心的な首脳会談に彼の姿が見えなかったことに対して、意外だとの指摘が出ている。

しかし、国内統治を管理する崔副委員長は、外交や南北問題、非核化を議論する中朝首脳会談では同席する必要はなかったとの見方もある。

また2015年9月に抗日勝利70周年記念式が平壌で開催された際、当時の金委員長の代理として習主席を訪問したものの中国側から冷遇された経緯もある。そのため、中朝外交では彼の役割が消えてしまったという見方も説得力がある。

とはいえ、国内統治を担当する彼を海外へ同行させたにもかかわらず首脳会談から外したことには、誰にも違和感が残る。

金与正が同行しなかったのは妊娠のため?

一方、金委員長の腹心とされる妹・金与正は今回、同行していないようだ。現在妊娠中である彼女が列車に乗って長距離を移動するのはよくないと考えたのだろう。

また、金委員長が今回のように国内不在となる場合、金委員長を代行して北朝鮮を統治すべき責任があるため国内から出ることができなかったという見方もある。そのため、専門家の中には「金与正と同様に、国内統治を担当する崔副委員長が首脳会談に同席しなかった理由は別の所から探すべきだ」と言う者もいる。

崔副委員長は金委員長と妹に対し忠誠を誓っているからこそ、党組織指導部長という要職に就けたのは周知の事実だ。それにもかかわらず、金委員長の留守番をさせることができるほど信任を得られていないとの読み方もできる。

ある北朝鮮専門家は「金正日総書記の現地指導に同行したからと言って、すべてが側近ではないと聞いたことがある」と言う。信頼が置けないからこそ監視するために随行団のメンバーに入れて、国内で変なことができないようにしていたというのだ。

さらにこの専門家は、「そのため北朝鮮の幹部の間では、現地指導に随行したからと言っても、すべてが権力者ではない。随行しなかったとしても指導者から信頼されていないわけではないとも聞いた」と付け加える。金正恩時代にも、父親と同じようなことが起きているようだ。