アディダス(Adidas)が、オンラインショップでの売上目標を達成するべく、アプリを有効活用している。

アディダスの最新の収益報告書によると、Amazonをはじめとするオンライン小売業者による販売へ重点的に取り組んだ結果、2017年のオンライン販売による売上高は15億ユーロ(約2000億円)に達し、前年比57%増となった。さらに3月14日の投資家説明会において、アディダスのカスパー・ローステッドCEOは、2020年までに40億ユーロ(約5200億円)を達成できる見込みだと述べている。しかし、この目標を達成できるかどうかは、Amazonや米大手スポーツ用品店チェーンのフットロッカー(Foot Locker)といった販売チャネルと同様に、アディダス独自の販売チャネル、特にアプリに左右されることになりそうだ。

アディダスはアプリを、消費者とのダイレクトな関係を作る有効な手段だと考えている。別の言い方をすると、Amazonなどに販売手数料を支払う必要のないオンラインビジネスを、アディダスが独自に構築するということである。より手ごろな価格の商品を販売するためにAmazonやその他のオンライン小売業者を利用する一方で、流通に出回らない、より高額な商品の販売推進にアプリを使うことで、アディダスは販売ポートフォリオを拡充できる。アディダスとそのライバルであるナイキ(Nike)は、それぞれの商品をいち早く市場に出すために、販売チャネルや製造技術を発展させようと競い合っている。それはまた、実店舗キラーのAmazonから各々のビジネスを守ることにもなる。

酷似したアプリ戦略



アディダスは2017年11月、同社初の通販アプリをリリースした。同社によるとダウンロード数は、すでに100万を優に達している。アプリのニュースフィードでは、新商品に関する最新情報やイベントといったコンテンツを紹介するが、各ユーザーが興味のあるコンテンツとして登録したものを優先的に表示するようにプログラムされている。

ナイキは2015年に同様のアプリをリリースし、昨年からはAmazonでの商品販売も開始しているが、その取り組みとアディダスのアプリ戦略は酷似している。アディダス、ナイキ両者に言えることだが、自社チャネル、第三者チャネルいずれの販売においても、高価格帯、中間価格帯、低価格帯の各商品について、チャネルごとに分けることなく同じ価格戦略を講じている。従来の販売チャネル戦略と比較すると、両社ともオンライン販売でより高い利ざやを生み出せる状態にあるのだ。昨年アディダスは、オンライン販売がもっとも利益率の高い販売チャネルになったことを明らかにした。

ローステッド氏は、オンライン販売が同社の収益性改善にひと役買っているとしたうえで、次のように述べた。「当社は、売上の上がる販売チャネルのなかでも、特に大きな利幅が見込めるチャネルに重点を置く戦略について、適切なバランスを見出しつつある。しかし、そもそも売上が上がらないチャネルについては、利幅を重視したりはしない」。

CRMの拡充に期待



アディダスは、主要アプリのリリースを過去2年間行ってこなかったが、それも通販アプリの完成によって終止符を打つ形となった。2016年にアディダスはアプリ「グリッチ(Glitch)」をリリースしたとはいえ、それはオンライン販売というより、マイクロインフルエンサーに対する簡単なテストと位置付けられていた。

アディダスがアプリ開発を休止するに当たり、当時は「さまざまな市場、あるいはカテゴリで無差別なまでの」アプリのリリース・ラッシュ状況だった、と語るのは、匿名を条件に、広告主であるアディダスのモバイル戦略の詳細を明かした某広告代理店の幹部だ。当時アディダスは、自社のアプリすべてを評価し、不要になったものを廃止した。また別の広告代理店によると、アディダスは最新のアプリによってCRM計画に弾みがつくことを期待している、という。2017年の一時期を、アディダスが今後リリースするアプリをすべて連携させる戦略の骨子作りに、その時間を費やしたほどだそうだ。

そこまでするのは、アディダスのプラットフォームにログインするユーザーがいつでも同じプロファイルを使用することで、得意客の姿をより明確に捉え、最終的にシステム側から、ユーザーが過去に閲覧したり、購入したものに基づいてコンテンツを提供するようになることを描いているからだと、前述の広告代理店の幹部は語っている。

Seb Joseph(原文 / 訳:SI Japan)