13年8月に「かぼちゃの馬車」を始めたスマートデイズ社が、17年10月までの僅か4年の間に1000棟ものシェアハウスにローン付けを行い、販売したというのだから凄まじい。単純計算で年間250棟である。銀行は土日祝日が休みで、当該貸出を取り扱っていた支店が1カ店のみだとすると、1棟が1億円前後と言われる「かぼちゃの馬車」に対する貸出が、毎日休みなく実行されていた計算になる。まさに、驚愕に値する状況と言えるが、正直違和感も感じるため検証作業を行ってみた。

【前回は】スルガ銀行は「かぼちゃの馬車」でドコへ行く!(5)

 (仮定)1年間の営業日数を240(1カ月20日×12カ月)日とする。ちょうど4年間続けたため、貸出実行累計件数は(年間240件×4年)960件となる。巷間伝えられている建築件数が1000件なので概ね妥当であろう。1件1億円の貸出とすると貸出実行金額は合計960億円となる。この貸出の返済期間は全て30年間、貸出金利は4%とする。返済期間と金利は既に報道されている貸出条件を援用した。

 4年前から返済を始めた分〜まだ返済が始まっていない分までを全て積算すると、現在の「かぼちゃの馬車」に係る貸出残高は合計で約925億円となる。960件に対する4年間の返済総額は約110億円にのぼるが、うち約75億円は金利であるため、元金返済額は約35億円に止まる。

 これに対してスルガ銀行の13年9月期(第2四半期)の貸出金合計額は2兆8044億円、17年9月期(同)は3兆2869億円と決算短信で公表されているので、銀行全体としては4825億円の増加となる。既往の貸出金もそれぞれの約定による返済が進むので、仮に「かぼちゃの馬車」ローンと同等の割合で減少したとすると、スルガ銀行は4年間で貸出金を、新たに5851億円実行したと見ることができる。

 スルガ銀行の支店数はリアル店舗が118店だが、出張所が8店舗あるため貸出金の勘定に関係する支店を110店舗とすると、4年間の貸出金増加額は1店舗当たり53億円である。店舗の規模を考慮していないのでブレが出ることは避けられないが、「かぼちゃの馬車」ローンを扱った支店は、そのローンだけで17支店の新規貸出金合計額と同じだけの貸出を実行したことになり、銀行全体の貸出金増加額の15%以上を占めることになってしまう。通常、同一銀行の支店間でこれほどの差が出ることは有り得ず、異様な実績と言える。

 もし本当に4年間で1000件もの貸出が実行されていたのであれば、スルガ銀行の内部では優良支店として注目を受け、営業推進ノウハウを各支店で共有しようとする動きがある方が自然であろう。その結果、スルガ銀行内で案件としての妥当性に疑問が生じた筈だ。

 2月24日に「スルガ銀行が実態調査を始めた」と報じられてから、1カ月が経過した。

 同月27日には、オーナーら76人が3月からの返済停止を通知したのに対して、スルガ銀行側が「返済が止まっても当面は差し押さえなどを行わない」と明言したと伝えられている。

 金融機関として、有り得ない規模の事案と異例な対応に対する、見えないタイムリミットが、刻々と迫る! (かぼちゃの馬車ローンの返金金額や取扱件数については、スルガ銀行による正式な開示がないため、現時点では実際の計数との整合性が、確認できないことをお含み願いたい)