久しぶりに会った友人が最近アイドルグループにはまっていて、彼らの動画を見るのが日課だという。

 彼女が応援しているグループは防弾少年団(BTS)という男子グループで、海外でもかなり人気らしい。

 彼女はコンサートなどに出かけたりする積極的な応援ではないものの、インスタント・メッセンジャーのスタンプを買ったりして陰ながら応援を続けているという。

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アイドル全盛時代のK-POP

 さて、昨今韓国のK-POPは、アイドル全盛時代を迎えている。アイドルなどに全く興味がない筆者でも数組のアイドルグループの名前を言えるほどたくさんグループがいる。

 その中でも2017年韓国で人気を2分したのが、防弾少年団(BTS)とWannaOne(ワノワン)だ。

 WannaOneは、アイドルを目指す練習生たちを集めて競わせる番組で勝ち抜いた少年たちで構成されているグループで、これは次の機会に紹介する。今回は防弾少年団(BTS:ビッグヒットエンターテインメント所属)に絞って話を進めよう。

 BTSは、2017年のワールドツアーで55万人の観客を動員し、「Love Yourself 承 Her」アルバムは、149万枚(カオンチャート2017年公式基準)以上を売り上げた。韓国でアルバムが1か月で120万枚以上売れたのは実に16年ぶりのことだ。

 2017年11月に公開された「MIC Drop」リミックスMV(ミュージック・ビデオ)は、今年の3月でユーチューブ再生数2億回を超え、米国のビルボード「ホット100」では28位にランクインした。

 昨年AMA(アメリカンミュージックアワード)を受賞し、3月25日には米国の2018KCA(キッズチョイスアワード)でグローバルミュージックスター賞を受賞するなど、まさに順風満帆である。

 これまでアジアを中心に韓流ブームを支えていたテレビドラマは少し落ち着いてきたなか、Psyの「江南スタイル」のようにユーチューブから広まるK‐POPは、世界へ韓流ブームを拡散させている。

 現在韓国のK-POPは、ビッグ3と言われるSM、YG、JYPの3社が牛耳っている。3社のトップは、そろって自身がK-POPで名をはせたエンターテイナーたちである。

昨年の売上高は約100億円

 彼らは2000年代に入り韓流ブーム始まった頃、日本のアイドルのシステムをベンチマークにしてアイドルを量産してきた。その牙城を崩すのは相当なことになると思われた。

 だが、BTSを率いるビッグヒットエンターテインメント(BHE)は、その牙城を崩すことになるかもしれない。

 3月22日、韓国金融監督院の発表によると、BTSを世に送り出したBHEは、昨年の売上高924億ウォン、営業利益325億ウォン、当期純利益246億ウォン(1ウォン=約0.1円))を記録した。

 前年同期比売上高は162.3%増、営業利益は213.5%増、当期純利益は172.7%増と、驚異の数字である。資産は、612億ウォン、資本は405億ウォンと前年対比それぞれ221%、160%増となった。

  それに引き換え、ビッグ3の昨年の営業利益は、SMが109億ウォン、YGが252億ウォン、JYPは195億ウォンとなっている。大手は多くのアイドルを抱えながらの数字で、BHEはBTSだけである。

 BHEの成功要因は何なのか――。

 まずは、SNSをうまく活用したということだ。BTSのメジャーデビューは2013年だが、2012年末からブログやツイッターを開設してSNS活動をした。

 例えば、テレビに出演する場合、ユーチューブには出演ぎりぎりまで局の廊下で振りつけの練習をしている彼らの動画をアップする。

 活動がない時でも、メンバーたちの日常を見せたり、自分たちが作る曲や作業日誌などをアップした。自分たちがコンテンツであり、プラットフォームとなってコアなファン層を増やしていった。

AI、5Gを駆使したプラットフォーム

 ユーチューブだけではない。今年1月、SKテレコム(韓国最大手の通信キャリア)と提携して音楽流通事業に乗り出した。

 人工知能(AI)、5Gを活用した音楽プラットフォームを作り出し、2月にはネットマーブルゲームズと防弾少年団を活用したゲームを作っていると発表した。まさにデジタル・ネイティブなアイドルである。

 第2に、若者の世代にアピールする歌詞を作り出す。

 彼らは「少年団」と銘打つだけにデビューした頃は10代であった。そして、自分たちが共感できる作詞・作曲をしていった。

 彼らは「10代が書き上げる10代の物語」というコンセプトで夢や反抗心、愛を歌った3枚のアルバムを発売した。

 「学校三部作」と呼ばれるこの3枚のアルバムにはメンバーたちが直接作詞、作曲に参加し10代からの共感を呼び起こした。彼らは会社が作り上げたアイドルではなく、自分たちの言葉で話せるミュージシャンとして認められている。

 第3に「善行」を挙げることができる。音楽を通じて社会貢献するということだ。

 BTSは、「Love myself」キャンペーンを展開している。これはユニセフのグローバル児童および少年暴力撲滅キャンペーン「#ENDviolence」を支援するもの。

 キャンペーンを始めてBTSが寄付した金額は5億ウォンに上る。

保育所に牛肉をプレゼント

 それに2か月間世界各地で集めた寄付金、「2017年大韓民国コンテンツ大賞」で大統領賞を受賞した時の副賞の1000万ウォンを加えてすでに寄付金は6億ウォンを超えた。これをファンドにしてユニセフの「#ENDviolence」を2年間支援する。

 また、各メンバーは保育施設39か所に牛肉をプレゼントしたり、母校の後輩たちのために制服をプレゼントしたりしている。

 彼らのこうした社会貢献活動は、自分たちが最も関心を寄せていることに向けられている。施設にいる子供、制服が買えない子供、暴力にさらされている子供・・・。身の丈に合った行動が、多くの人たちの共感を呼び起こしている。

 キャンペーンの公式ツイッター(@bts_love_myself)のフォロワーは現在60万人を超え、#BTSLoveMyselfのハッシュタグは280万件を超えた。

 ちなみに現在UAEを歴訪している韓国のキム・ジョンスク令夫人は、UAEで韓国語の勉強をしている学生たちに会った際、BTSのCDをプレゼントして喜ばれたという。

 すでに韓国のアイドルは韓国だけでなく、海外でも売れる時代となったようだ。

筆者:アン・ヨンヒ