旭山動物園/下から見たユキヒョウの肉球(2017年5/16撮影)/(C)旭川市旭山動物園

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旭山動物園の「もうじゅう館」では、動物を上から下から、さまざまな位置で観察できるのが特徴。なかでも、毛や肉球を間近に観察できる、空中にせり出した金網はおもしろいですよねぇ。頭上にユキヒョウが寝転がってるなんて、普通に暮らしてたらあり得ませんから。2階の通路に上がったら、今度は寝ている姿を上から見られるという一度で二度美味しい的な感覚で、写真撮影もはかどります。

旭山動物園/金網の上でぐっすり眠るユキヒョウ(ヤマト)/(C)旭川市旭山動物園

でも考えてみたら、なんでユキヒョウとアムールヒョウだけこういう造りになってるんでしょう? 「上にいるのが当然」という気持ちで観察してますけど……。

ここ「もうじゅう館」は、開園以来の大規模施設として1998年にオープン。それぞれの生息環境をイメージして作られたため、高い場所が得意なユキヒョウやアムールヒョウにはこういった金網や岩場、擬木が備えられたんですね。ちなみに、平原で暮らすライオンには芝生があったり、エゾヒグマにはマーキング用の木が植えられているので、同じ「もうじゅう館」でも動物の種類によって結構違いがあるんですよ。

ユキヒョウの生息地は中央アジアの高原地帯や山岳地帯。平地より崖を駆け下りるほうが得意で、太くて短い足や肉球の面積が広いのも、そのため。体長と同じくらいの長さがある尾でバランスを取りながら、断崖絶壁を駆け下り野生のヤギを捕らえるそう。

一方、アムールヒョウはシベリアや中国北東部など、ヒョウのなかでも最も北に生息。木登りが得意で、捕まえた獲物を木の上に引き上げて食べることもあるのだとか。野生の生息数は50頭とも言われる、絶滅寸前の動物です。

どちらも夜になると狩りを始めるので、日中は木の上で昼寝していることが多いみたいですね。確かに、よく寝てます。でも、夕方近くになると歩き回る姿を見られるかも知れないので、閉園間際にちらっと寄ってみるのもオススメですよ。たまに、上からエゾシカを見ているときもあるんだとか。……狙っているんですかね。

また、ユキヒョウとアムールヒョウの放飼場は隣り合っていて、空中にせり出した金網も密着しているわけですが、ふと「ケンカとかしないのか?」なんて疑問が湧きます。2016年にユキヒョウの仔が放飼場に出てきた時は、アムールヒョウが興味深く観察していたり、逆に去年アムールヒョウの仔が出たときには、ユキヒョウが気にする素振りを見せたことも。大人同士では、もう特に反応は示さないようですね。

と、ここまでさんざん「高い場所が得意なので上にいます、夜行性なので昼間寝てますけどね」という話をしてきましたが、四六時中、上にいるわけでもないんですよ。

糞をしに来たり(尿は上からする場合も)、夏になると水を飲みにきたり(水の入った深いトレーが地上に置いてある)、たまに地上へ下りてくることもあるそう。地上にいる彼らを見られるのはちょっとレアかも知れませんね。

※写真提供:旭川市旭山動物園

旭川市旭山動物園 ■開園期間:冬期開園11月11日(土)〜2018年4月8日(日)※12月30日(土)〜2018年1月1日(祝)は休園 ■時間:冬期開園10:30〜15:30※入園は〜15:00 ■住所:旭川市東旭川町倉沼 ■電話:0166・36・1104 ■料金:大人820円、中学生以下無料(北海道ウォーカー・出村聖子)