サクラ並木を進むセレナe-POWER/撮影:栗原祥光

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3月1日、日産自動車は人気ミニバン「セレナ」に、同社の先進技術「e-POWER」を搭載したモデル「セレナe-POWER」をラインナップに追加した。好評のミニバンに静粛性を兼ね備えたというこのモデルを、さっそく都内で試乗してみた。

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■ 日産独自のパワーユニット「e-POWER」を搭載

「e-POWER」とは電気自動車の一種。エンジンを搭載するものの、それは発電のみに徹し、車両は大出力モーターのみで駆動する。モーター駆動の良さである静粛性と発進加速の良さを得ながら、100%電気自動車には必要となる充電設備と充電時間は不要。電気自動車でありながらガソリンを入れた分だけ走るのだ。

この「e-POWER」は、2016年にコンパクトカー「ノート」に初採用され、日産自動車に約30年ぶりとなる月間乗用車販売台数ナンバーワンをもたらした立役者だ。搭載するe-POWERユニットは、ノートと同一の「1.2リットル直列3気筒+モーター」という組み合わせ。ただし車両本体が約500kgも重いセレナに搭載するにあたり細かいチューニングを行っている。

e-POWERはお財布に優しいのも特徴。「セレナ e-POWER X」(¥2,968,920)と既発売のハイブリッド車である「セレナ X」(¥2,489,400)で比べてみたいと思う。まず購入時にかかる取得税と重量税はe-POWERの場合、エコカー100%減税対象車であるため、合計104,200円優遇。いっぽうハイブリッド車は取得税20%、重量税25%減税であるため、合計20,000円優遇と大きく隔たる。さらに翌々年度に適応される自動車税の減税額であるが、e-POWERは25,500円であるのに対して、ハイブリッド車は適応対象外だ。その自動車税そのものも、e-POWERは排気量が1200ccであるため34,500円/年、ハイブリッド車の方は排気量2000ccであるため39,500円/年と、5000円の差が生じる。

気になる燃費も異なる。カタログ値であるが、ハイブリッド車が17.2km/Lであるのに対してe-POWERは26.2 km/L (いずれもJC08モード)を実現。イニシャルコストもランニングコストもハイブリッド車に比べてお得なのだ。

いっぽうで、セレナの美質はそのまま継承。例えばクラスNo.1の広さを誇る室内空間と、豊富なシートアレンジ、両手がふさがっていても片足だけで自動開閉ができるスライドドア、開口部の大きなデュアルバックドアといった、「痒いところに手が届く」家族に嬉しい装備も充実。もちろん駐車枠を指定するだけでハンドル操作を自動で行う「インテリジェント パーキングアシスト」やセレナで初搭載した高速道路などの長距離走行に便利な運転サポート機能「プロパイロット」も備えることは言うまでもない。

さらに「ノートe-POWER」で好評だったワンペダルで加減速と停止ができる「e-POWER Drive」も搭載。運転を楽に、ドライバーの負担を低減する機能も満載なのだ。

■ 「家族向けミニバン」の真打ち!圧倒的な静粛さと滑らかさに驚く

運転してみると、その静粛性に誰もが驚くこと間違いないだろう。セレナはもともと静音にこだわったミニバンであるが、無音といっても過言ではないほどの静粛さ。走行中発電のためにエンジンが回ることがあったが、同じe-POWERを搭載するノートでは感じた振動が、ほとんどわからない。これは家族をはじめ大人数で乗ることが多いミニバンにとって嬉しいこと。

感心するのは運転者に対する優しさ。まず圧倒的な視界の広く死角が少ない。特にミニバンやSUVでは見づらい左側面の視野は、例えばAピラーを細くすることにより、見やすいものとしている。そしてモーター駆動によるトルクの太さによって、発進加速や中間加速がとてもスムースで楽。特に信号待ちからのスムースさはドライバーにも同乗者にも負担が減ると思う。

それに輪をかけるのが「e-POWER Drive」によるワンペダル走行だ。通常自動車の運転は、アクセルを踏んだり離したり、そしてブレーキを踏んだりと右足は大忙しだ。アクセルを離すだけでブレーキがかかりはじめブレーキを踏む必要がない、というワンペダル動作が、街中でどれだけ有益なことか! 最初は慣れが必要であるものの、5分もすれば自然に運転できることだろう。実際試乗中にブレーキを踏んだのは、ストップ&ゴーの多い都内ですら、わずか2回だけであった。しかもブレーキが不慣れだとカックンとしがちだが、e-POWER Driveの場合はまるで運転が上達したかのように、スーッと自然に停止する。しかも音もなく。これは同乗者にとっても嬉しいことだろう。

このe-POWER Driveであるが、ノートとは動作が若干異なる。ノートの場合は高速域での減速Gが大きいのだが、セレナの場合はかなり穏やか。しかし制動距離はあまり変わらないそうで、広報に尋ねたところ「ノートとは異なり、セレナは大人数で乗ることが多いことから、スムースさに注力しました」とのことだ。そのようなセレナだから、乗り心地は極上。しかもバッテリーなどの重量物が底面にあることから、ハイブリッド版に比べて安定度が増しているようにも感じた。

価格はハイブリッド版に比べると少し高く感じるかもしれない。しかし静かで快適なセレナe-POWERは「家族向けミニバンの決定版」「真打ち」と言えるかもしれない。そのような印象を抱いた。(東京ウォーカー(全国版)・クリタタカシ)