アップル日本公式ホームページでも「Appleと教育」というキーワードが提示された

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‘18年3月28日(日本時間0時)、アップルの新製品が発表された。これまで世界中が注目するなか、ライブ配信でいち早く数々のプロダクトを発表してきたアップル。今回は新製品の発表会後、ホームページやApple TVで速報ビデオを配信するという異例とも言える形式をとった。そんな発表会の最大の目玉は、Apple Pencil対応、9.7インチサイズの新型iPadだ。

◆新型iPad以上に注目すべきビジネスモデル

 事前に「教育」というテーマが掲げられていた今回の発表会。銃規制を巡って大規模なデモを行うなど、全米で「学生の意見」が注目されているさなかに行われたのは、決して偶然ではないだろう。CEOのティム・クック氏は、アップルの40年以上の歴史において、教育との関係はとても密接であったと口火を切った。

 教育現場の音楽制作やプログラミングでいかにiPadが活用されているか……。そんな紹介ののち、最初に発表された製品は本日の目玉である9.7インチの新型iPad。ステレオスピーカーを搭載し、一般価格は329$(3万7800円)、学校向け価格は299$(約3万2000円)とかなりお手頃だ。

 現行モデルと同じくRetinaディスプレイを搭載しているだけでなく、「教育」というテーマに合わせ、ノートを取ったりイラストを描くのに便利なApple Pencilに対応していることにも注目してほしい。同時に「Pages」「Numbers」「Keynote」といったアプリも、Apple Pencilをサポートするべくアップデートされるそう。ITライターの小枝祐基氏は次のように語る。

「これまでProのみだったApple Pencilを低価格モデルにも対応させたことで、いよいよ本格普及が見込めると思います。Apple Pencilの性能については折り紙付きですし、アプリも充実し、すでに手書き機能をフル活用できる下地もあります。教育現場で活用されることで新たな可能性も生まれるのではないでしょうか」

 新型iPadは本日中に注文が開始され、今週末に出荷されるというスピード感もアップルならではと言えるだろう。主な仕様は8メガピクセルのカメラ、10時間バッテリー、FaceTime HDのフロントカメラ、プロセッサはA10 Fusion、Touch ID、GPSや電子コンパスなど。

「体感しづらいところではありますが、昨年モデルからCPU性能も底上げされています。価格も据え置きですし、より魅力を増しています」

 続いて教育機関向けというテーマで発表されたのは、学生の無料iCloudストレージを5GBから200GBに増幅するというもの。新型iPadに比べれば地味な話題だが、アップルが「学生」という永続的なユーザーを取り込もうとしていることが伺える。

 その後、発表された「Classroom」「Schoolwork」といったアプリも、生徒の情報管理や勉強の進捗状況を確認するためのもの。クリエイティブな分野やオフィス業務の次に、アップルが目をつけたマーケットが教育機関だということは、今後のIT市場の流れを考えるうえでも見逃せないだろう。

「教育機関向けとしてはGoogleが提供するサービスと競合しますが、日本ではChromebookの本格普及には至っていませんし、今後の動向に注目ですね」(小枝氏)

 最後に発表されたのは「Everyone Can Create」という教育カリキュラム。’14年に始まったプログラミング原語「Swift」は、15カ国語、155カ国で普及している……。一般の教育者やビジネスマンにとっては、やや遠い話だ。しかし、ここでもアップルが「学ぶうえでの第一歩」に力を入れていることがわかる。

 人が教育を受け続ける限り、「ペンとノート」がなくなることはない。「教育」に的を絞った今回の発表会は、アップルが未来の教師と生徒に「ペンとノート」を提供していくというマニフェストに他ならない。ティム・クックCEOは「今日はアップルにとってとても大切な日です。また、世界中の教師と生徒にとっても大切な日になることを願います」と発表会を締めくくった。「ペンは剣よりも強し」。IT化の進む教育現場で、アップルが覇権を握る日は今日始まったのかもしれない。

<取材・文/HBO編集部>