「超」がつくお金持ちになるのは難しいかもしれない。だが、海外の超お金持ちが実践している「3つのシンプルな法則」を覚えるべきだ(写真:amadank / PIXTA)

ファイナンシャルプランナーの私が富裕層の多いシンガポールに住んで3年になりますが、子供の学校やパーティー、さらにはビジネスの場で、世界中の「超お金持ち」との接触が多くなります。著名投資家のジム・ロジャーズ氏や長者番付でも上位にランクインされているフェイスブックの共同創業者エドゥアルド・サベリン氏、地元出身では、スペインのプロサッカーチームであるバレンシアのオーナーとして有名な投資家のピーター・リム氏などがシンガポールで生活をしています。

こうした超お金持ちとの交流では刺激を受けたり、ショックを受けたりもします。今回は、彼ら彼女たちが実践している文字どおり「お金持ちになる方法」をお伝えしたいと思います。読者の皆さんは「どうせ、富裕層は別次元の人でしょ!」と思っている人も多いかもしれません。しかし、超お金持ちの中には、一代で若くして富を築き上げた人も多いのです。少なくとも初期では一般人とそれほど大きな差はなかったはずです。

お金持ちに近づく「3つのシンプルな法則」とは?

ひとことで言えば、普通の人との根本的な違いは、「時間やおカネの使い方と選択の仕方」(リスクの取り方)だと感じます。一つひとつの選択も、積み重なると大きな差となり、40代にもなると大きな差が出て、「数億円の資産」を築いている人と「貯金ゼロ」という差になることもあるのです。早速見ていきましょう。

実はおカネを殖やすためにできる要素は、次の3つしかありません。「収入を増やす」「支出を減らす」「運用リターンを上げる」ことです。日本人は1つ目の支出を減らすことには長けていますが、収入を増やしたり、運用リターンを上げたりする部分は、特に改善の余地があると感じます。

(収入 - 支出 )× 運用リターン

「そんなことを言っても、収入を増やすのは簡単じゃない」――そのように嘆く日本人が多いのはわかります。しかし、就職や転職をするときに、業種ごとの賃金、面接を受ける企業の賃金や手当などの報酬、給与の伸び率などをきちんと調べていない人も多いのです。公開されている資料で事前に調べることもある程度可能ですし、OB訪問などをして詳細にリサーチすることだってできるはずです。

ましてや、給料の交渉をする人はあまりいないでしょう。

アメリカ企業では賃金の交渉をするのは当たり前です。大企業の場合は社内公募が行われていることもあり、希望のポジションを受けることも可能です。シンガポールにいるインド系や中華系の会社員の多くは、米国を中心とした欧米企業、その中でも賃金が高い投資銀行で働いています。

シンガポールの投資銀行なら新人でも年収1000万円

たとえばシンガポールにある投資銀行の平均年収はウェブサイトでも簡単に見られます。もちろん、年収が高い業種ではありますが、営業職の場合、新入社員でも1000万円前後、一人前になったら2000万円前後、責任者になったら3000万円程度、部長クラスだと5000万〜6000万円前後です。

実際、彼らは最も効率よくおカネを稼ぐことができる会社やポジションを最初から選別しています。MBA(経営学修士)を出た人の就職先として外資金融やコンサルタントがよく選ばれますが、学費の借金を効率的に返す就職先の1つとして、認知されています。筆者も同業界にいましたが、「交渉」や「社内政治」を活用して上のポジションに行けるように努力をするのは当たり前の世界でした。数年でやめる人も多いのですが、それでも働いた期間は貯めることができるのでやりたいことが見つからない人が当面の間働くには悪くはない選択肢でしょう。

また、シンガポールの労働市場は日本のように硬直的ではないので転職もしやすく、新卒で希望の会社に入れなくても、転職での挽回が可能です。30代で業種を変えた転職をしている人も多く、「商社から金融」などといった、「業界を超えた転職」もあまり珍しくありません。

そもそも日本の会社員は「先進国一勉強をしない」と言われています。私事で恐縮ですが、夫は現在、シンガポール大学のエクゼクティブMBAコースで学んでいます。ここには、世界中の経営者や会社員が、忙しい仕事の合間を縫って、受講をしています。ちょっとした時間を見つけて大学院で学び直したり読書をしたりするのは、世界のビジネスマンにとっては当たり前なのです。

たとえば、交流会に参加したときにシンガポール在住の金融機関の外国人から「リンクトイン教えて!」と言われたのですが、「英語で書いて用意しておかなきゃ」と反省をしました。実は至る所にビジネスチャンスはあり、つねに自分をブラッシュアップし、受け入れる体制を整えておくことで、不意に訪れたチャンスに飛びつくことができる場合もあるのです。

2つ目の支出に関しては、「貯金したければインドのドケチ金持ちに学べ」でも書いたので少し省略しますが、実際、金持ちは基本ドケチです。必要ない物や無駄に高い物は買いません。支出をしっかりコントロールして余裕資金(種銭)を作るようにしています。

一代で財を築いた人は、おカネをできるだけ回す

一代で急激に成功をした人は賃貸で車も保有せずに、ほとんどのおカネを事業や投資などに回している場合もあります。住宅ローンや貯蓄型の保険を組んでしまうと、自由に使えるおカネが大きく減ってしまうために機会損失になります。リスクをとって成功したいという人は普通預金やMRF、上場株式や投資信託など換金のしやすい形で資産を持っておく戦略も有効です。

3つ目の運用に関しては、余裕資金(種銭)が多いとリスクを取りやすくなります。多額の住宅ローンなどの借金を抱えている、扶養家族が多いなどという人はリスクを取ることが難しいですが、なくなっても痛くない余剰資金が多ければその分勝負に出ることができます。

投資には主に自己投資、不動産投資、金融投資の3つがありますが、自分の得意な分野に投資をしてお金持ちになっている人はたくさんいます。自己投資というのは、たとえば、夢中になれることが見つかった人はすでに学生時代や20代など若い頃からビジネスを始めて会社経営者となるなどです。会社を上場させてひと財産を築いている人もシンガポールには少なくありません。社長以外の社員もストックオプションや社内積立などで株式を保有することもできたりするので、ベンチャー企業で働いてコツコツ積み立てをして株式が上場されて資産を殖やせる場合もあります。

また、不動産投資については、やっぱり外資金融で働いている人が多くなるでしょうか。これは業界として金融取引を制限していることもあるようです。安く買って高く売るのが基本ですが、2008年のリーマンショックの際に競売物件を買って、超お金持ちになっている人も少なくありません。

最後に金融投資で成功をしている人ですが、これは、2013年から2017年にかけた株式市場の高騰にきちんと乗っている人などです。日本の投資家の皆さんも、日経平均株価に連動したインデックス投信を買って保有するだけでも資産を倍増させるチャンスがありました。また、いろいろな課題はあるものの、ビットコインなどの仮想通貨を初期の頃から保有、バイ・アンド・ホールドで祖国のインドネシアでは十分な老後資産を築いて30代で仕事を引退したという人もいます。

1つ大事なのは、大成功をしている人の多くは、ほぼ間違いなく普段から「種銭」を作っておき、チャンスが巡って来たら迷わず飛びつくタイプです。虫の知らせを見逃さないのです。「待っていて、引っ捕まえる」という印象です。

もし、読者の皆さんが普通の会社員でも、夫婦共働きなら「2馬力」で稼ぐことで、収入を大きく増やすことができます。また、単身の人も扶養家族がいない分、余裕資金は作りやすいと思います。65歳まで働くことで生涯賃金は増えます。無駄遣いを減らし、その分で投資信託の積立をコツコツすることも可能です。