タイヤ、ドライブレコーダー、カーナビなど、アマゾンジャパンはカー用品の品ぞろえを増やしている(撮影・上写真:尾形文繁、下写真:今井康一)

ネット通販(EC)の巨人が次に目を付けたのは、巨大な自動車市場だった――。

アマゾンジャパンは3月中旬から、自社ECサイトにおけるカー用品の検索を簡便化する新機能「Auto Parts Finder(オートパーツファインダー)」の提供を始めた。


自分が所有する車の情報を一度入力すれば、その車に合ったカー用品の検索が簡単になるという(写真:アマゾンジャパン)

利用者は専用サイト「アマゾンガレージ」にアクセスし、所有する車のメーカー、車種、年式などを入力すれば、自分のアカウントにデータを紐付けることができる。あとは購入したいカー用品を検索する際、検索ページで「この車で絞り込む」というボタンをクリックすると、その車に合うパーツのみが表示される。一つのアカウントにつき、車は10台まで登録することができる。

カー用品の取り扱いは1000万点以上に

アマゾンでは2009年から自動車関連製品の取り扱いを始めた。現在はタイヤやホイールなどのパーツ、カーナビやドライブレコーダーなどのエレクトロニクス製品、アクセサリー、メンテナンス用品など、1000万点以上をそろえる。一方、商品の選択肢が増えるにつれ、利用者が自分の車に合った商品を見つける手間は増えた。新機能の狙いは、その手間を軽減することにある。


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特に利便性の高まりそうなのが、タイヤの購入だ。「これまでは適合する型を把握するために、自分でサイズを測ったり、車検証を探して確かめたりする必要があった。それがワンクリックで済むようになる」。アマゾンジャパンの六車進・カー&バイク用品事業部長はそう強調する。ほかにもシートカバーや外装・内装パーツなど、種類が多いうえに車種ごとに細かく型が異なる商品を探す際は、この新機能が役立ちそうだ。

あらゆる消費財のトレンドに違わず、カー用品のECも急速に一般化しつつある。特にタイヤは、国内外メーカーのさまざまな価格帯の製品から選びたい、積雪予報などに応じてすぐに注文したい、といったニーズが強く、ECの強みを生かせる。


登録された自分の車の情報を基に、簡単に検索できる(写真:アマゾンジャパン)

一方、ネックになっていたのが「パーツの取り付け」だ。欧米では購入したタイヤやカーエレの取り付けを消費者自らが当たり前に行うが、日本ではカー用品店やガソリンスタンドなどが委託する整備工場に依頼するケースが多い。

そこでアマゾンでは、購入したパーツの取り付けをECサイト上で申し込めるサービスを2011年から始めている。送り先をアマゾンが提携する整備工場に指定でき、購入者は予約当日、車に乗って出かけるだけでいい。提携工場は直近では全国1万4000カ所まで増えた。

取り付けまでを含めた事業をこの規模で展開するのは、アマゾンの進出国の中でも日本だけだという。サービスの広がりを背景に、アマゾンの日本におけるカー用品カテゴリーの取扱高は、ほかの商品カテゴリーに比べ高い成長率を示す。

法人向けECサイトでもカー用品が人気

アマゾンが昨年9月に日本で開始した法人・個人事業者向け専用の購買サービス「Amazon Business(アマゾンビジネス)」においても、カー用品の需要は想定以上に大きい。主な顧客は、自動車整備工場だ。アマゾンからタイヤや部品、カーナビなどを購入し、修理や取り付けのサービスと合わせて提供するケースが多いという。


カー用品店で見掛けることの多いドライブレコーダーなど、カーエレクトロニクス製品やタイヤの取り付けもアマゾンで依頼できる(編集部撮影)

法人向けECでも、やはり品ぞろえの多さがアマゾンの強みだ。「既存の仕入れ先に頼るだけでは、事業者からお客さんに提供できるメーカーやブランドが限られてしまったり、取り寄せに1カ月以上かかったりする場合があるが、アマゾンを使えば、お客さんが選びたいものを選んでもらえる。お待たせする時間も短くできる」(アマゾンジャパンの星健一・アマゾンビジネス事業本部長)。

今回始まったオートパーツファインダーの機能は、アマゾンビジネスでも個人向けECと同じように使える。整備工場には、紙のカタログの代わりにタブレット端末でアマゾンビジネスのサイトを顧客に見せる手法など、具体的な活用方法も含めて訴求しているという。

現在、アマゾンでは中古車、カーリース、車検を受けられるチケットなど、従来のカー用品ECから周辺領域へとラインナップを拡大している。「アマゾンとして、自動車にまつわるすべてにかかわっていきたい」(前出の六車事業部長)。業界でのアマゾンの存在感はさらに高まりそうだ。