中国人にとって美しいだけの桜も、日本人にとっては、ただのきれいな花ではなく、過去を思い出す思い入れの深いものらしいと中国メディアが伝えた。(イメージ写真提供:123RF)

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 2018年は桜の開花が例年よりも早く、東京などではすでに満開となる見頃を迎えた。桜は中国人にも人気が高く、この時期に日本旅行を計画する人も少なくないが、近年では中国でも桜のスポットが増えている。

 桜が中国人の興味をそそるのは、日本のアニメや漫画、映画などでさかんに桜が登場するからだろう。しかし、日本人にとっての桜と中国人にとってのそれとは同じなのだろうか。中国メディアの今日頭条は22日、日本人と中国人の桜を見る心境の違いに関する記事を掲載した。

 記事は、中国人が桜を見るのは絶対に日本人のそれとは違うと主張。日本人は、春の時期になると花に気持ちを託したくなるらしいと分析し、あるドキュメンタリー番組について紹介した。その番組では、桜を見ながら日本人はどんなことを思うのか、いろいろな人にインタビューしている。桜は卒業の時期に重なるが、ある学生は「来年桜を見るころには社会人になっている」とこの先の1年に思いをはせていたという。

 また、「桜を見ながら若いころ桜の下でプロポーズした」と懐かしそうに回顧する老夫婦、妻が東日本大震災で亡くなったある男性は、「満開になった桜を妻が応援してくれていると言い聞かせる」と話し、別のお年寄りは「桜を見るとすでに巣立った子どもたちのことを思い出す」と話したと紹介した。

 さらには、桜のおかげで普段はできない花見を楽しめる主婦たちもいると紹介。松尾芭蕉の俳句「さまざまのこと思い出す桜かな」を引用しながら、日本人にとって桜とはただのきれいな花ではなく、過去を思い出す思い入れの深いものらしいと伝えた。

 桜に対する思い入れが強いのは、桜の開花時期が日本ではちょうど卒業・入学式の時期に重なることもあるのだろう。また、開花期間が短く、美しさも相まって強い印象を与えているのかもしれない。桜を見に国内外に出かける中国人には、桜の美しさは目に映っても、日本人それぞれが抱く心境は理解できないに違いない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)