「不合理な目標設定」に隠された意図とは

写真拡大

何が勝ち組と負け組を分けるのか。雑誌「プレジデント」(2017年3月6日号)の特集「『働き方』全課題60」では、「超一流の仕事術 全解明」として、より成果を上げるためのノウハウを各方面のエキスパートに取材。今回は、セレブレイン代表取締役社長の高城幸司氏が「ノルマ達成」について解説する――。

■「ノルマの意味」を2つの軸から整理する

上司の設定したノルマや目標を「高すぎる」と感じたとき、部下としては「この数字にはどんな意図があるのか」を考えてみるといいだろう。数値目標を合理的に設定することは、現実には不可能だ。上司は部下の仕事ぶりをすべて知り尽くすことなどできない。そこには必ず誤解や理解不足がある。

そうした不合理について憤るまえに、上司の立場から考えてみるといい。ここでは大きく2つの軸から整理してみよう。

1つは「理不尽の度合い」だ。常識的に考えて、まず達成困難な数値目標であれば、達成そのものが目的ではないだろう。おそらくその上司の意図は、達成に向けたプロセスの確認のはずだ。「無理だ」と簡単に諦めてしまうのか。それとも「なにくそ」と奮起するのか。ピンチでの振る舞いをみているのだろう。

一方、背伸びをすれば届く、という目標であれば、そこでは確実な目標達成が期待されている。だから手段を問わず、結果をみせることが重要になる。目標をクリアさせることで、部下に自信を付けさせたい、という意図があることも考えられる。

「プロセスより結果」が求められている場合には、2つ目の軸である「手段の許容度」を確認してみるといい。「手段は問わないから、結果を出せ」というプレッシャーがあるのなら、それはチャンスだ。数字以外での交換条件を引き出そう。期限の延長、スタッフの増員、PCの更新、タクシー利用の許可……。「目標を撤回してください」と反発すれば角が立つが、「わかりました。そのかわり経費を認めてください」といえば、上司側も無視はできないはずだ。

■「なぜ私だけ仕事が多いのですか」は逆効果

「手段の許容度」が低い場合には、「1つだけ条件があります」などと切り出して、許容度を高める提案をしてほしい。部下から提案がなければ、上司は数字を押し付けるだけで楽ができる。こちらからオプションを提示して、相手に可否を選ばせる。これはあらゆる営業現場で有効なテクニックでもある。

なかには明確な意図があるわけでなく、結果的に高いノルマを設定せざるをえなくなった、というケースもある。たとえば部署に7つの仕事があって、部下が3人しかいなければ、上司は2対2対3の比率で仕事を配分するしかない。仕事の配分に不合理はつきものだ。

その点について「なぜ私だけ仕事が多いのですか」などと「合理的な説明」を要求されても、上司は困ってしまう。上司だって悩んでいるのだから、一緒に解決策を探ったほうがいい。オプションを提示するというのは、「上司と一緒になって考える」ということなのだ。

頼りになる上司は「スタッフを増やしてくれ」という要望に対し、「社員は増やせないが、外部委託なら手配できそうだ」といった解決策を用意できる。一方で、「とにかくやれ」という上司は自分の都合を押し付けているだけで、出世の見込みも薄い。付き合い方を考え直したほうがいいだろう。

▼「プロセス」と「結果」のどちらに重きがあるのか探る

----------

高城幸司
人事コンサルタント。1964年生まれ。86年同志社大学文学部卒業、リクルート入社。2005年独立。セレブレイン代表。『社内政治の教科書』など著書多数。
 

----------

(セレブレイン代表取締役社長 高城 幸司 構成=山田清機)