大阪で開催された原子力産業の合同企業説明会

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 原子力産業に関わる企業や機関が、2019年春の新卒者確保に力を入れている。3月に東京と大阪で開いた学生対象のエネルギー合同企業説明会には、前年度比13社増の72社が参加し採用意欲は高まる。全国で原子力発電所の稼働が7基にとどまる中だが、各社の採用数は前年同様の計画を立て、原子力技術・人材を維持する考えだ。一方、売り手市場のため原子力産業に就職する新卒者の確保は競争が増している。

 日本原子力産業協会と関西原子力懇談会は共同で、3月に東京と大阪で合同企業説明会を開いた。電力会社や原子力関連企業など72社、同業界の就職を希望する大学院生、大学生、高等専門学生ら計383人が参加した。

 リクルートキャリアによると、参加学生の傾向は「東京電力の福島第一原発事故があって以降、採用ニーズの高い機械、電気、化学系の学生の来場者数は少ない」(斎藤浩平氏)と説明する。

 ただ原子力産業を志望する学生は「福島を知って、使命感が出てきた」と職業意識が高いという。原子力業界では学生が他業界に就職しても、説明会は原子力を理解してもらえる場になると考える。

 東京と大阪の合同説明会に参加したケーイーシー(広島市南区)は、原発プラントの品質管理などを手がける。同社の狩郷宏採用センター長は「近年は合同説明会の当社のブースに集まる学生は少ない」と頭を悩ます。そこで学校の就職担当者や個別の先生とのパイプづくりを進める。

 詳細に職種を分けて募集する三菱重工業は、設計・エンジニア向けインターンシップ(就業体験)や原子力人材育成研修会を開き、学生の認知度向上を図る。関西電力や中部電力など電力各社は、原発の技術者を絶やさないために、前年度同様の採用数を計画的に継続する。

 安定した採用は業界の課題だが、原子力に興味を示す学生が減る中、若年層から原子力の理解度を高めることにも努める。関電は原発の見学会を増やし、見学用に関心を持ってもらえるようにバーチャルリアリティー(VR)も導入。原子力発電の仕組みや、新規制基準を踏まえた安全性対策の理解を訴える。
(文=大阪・香西貴之)