Amazonが広告への注力を強めている。徴候としてまず、エージェンシーのメディアバイヤーによると、この数カ月、Amazonからの連絡が少なくとも昨年の2倍になっているという。また、特定ブランドを担当するチーム作りをAmazonが進めていると話すエージェンシーが増えており、これは広告プラットフォームの成熟時によくある戦術だ。

メディアバイヤーたちによると、Amazonは主に次のような動きを見せている:

広告でFacebookとGoogleの独占2社に太刀打ちする方法を探るため、アトリビューションのテストを立て続けに実施している。
Amazon Advertising Platform(以下、AAP)のアプリケーションプログラミングインターフェイス(以下、API)を一部のエージェンシーとテストしている。APIにより、マーケターが自ら管理できるプログラマティックのキャンペーンが増えて、Amazonの広告の規模拡大が可能になる。
広告最大手としてのGoogleとFacebookの成長を手本に、エージェンシー開発グループを数百人規模へと大幅に拡充している。

これらはいずれも、Amazonが広告ビジネスを成長の重大なエンジンだと受け止めていることを示している。JPモルガン(J.P. Morgan)の最新推計によると、Amazonの広告ビジネスは現在28億ドル(約2900億円)だ。

「ウォレットの全体像」を提供



重要な動きかもしれないのは、Amazon.comで広告がどのようにアクションを促すのかを解明するため、Amazonが少なくともエージェンシー2社と、アトリビューションのテストを繰り返し行っていることだ。FacebookやGoogleと違いAmazonは、いわゆる「ウォレットの全体像」を提供すると、マーケターたちにずっと売り込んできたのを証明する取り組みなのだ。

広告主たちに対するAmazonの売り込みはわかりやすい。CMOたちは非科学的なアトリビューション手法が嫌いなのだ。広告主なら、少なくとも理論上は、広告をクリックした人数を知ることができなければならないし、販売に至ったかどうかを把握できなければならない。また、ホールフーズ(Whole Foods)の買収やAmazon Booksの立ち上げによって、従来型店舗の機能が加わったことで、Amazonはオンラインからオフラインへのコンバージョンのアトリビューションにも対応できなければならない。

Amazonは2017年後半、広告商品を販売するインハウスチームのAmazon Media Group(以下、AMG)のために提供するセルフサービスオプションの拡大を開始した。バイヤーたちは現在、これが新たなレベルに到達するだろうと語っている。それが、Amazonのプログラマティックのソリューションであり、ブランドがAmazonの資産からAmazonのオーディエンスセグメントにリーチする唯一の方法であるデマンドサイドプラットフォーム(DSP)、AAPのためのAPIなのだ。

仕組みがわかりやすくなる



WPP傘下のマーケットプレイス・イグニション(Marketplace Ignition)でプロダクト担当VPを務めるトッド・ハリック氏は先日、ニューオリンズで開かれた米DIGIDAYが主催するメディアバイイングサミット(Media Buying Summit)で登壇し、到来したこの動きによって、Amazonの仕組みがエージェンシーとマーケターにわかりやすくなると語った。

2017年、Amazonに関するマーケターの大きな不満に、「サポート」の欠如があった。あるバイヤーは米DIGIDAYに、まるで「シンクホール(下水口)」だと語った。その主張はシンプルで、メディアは何はともあれ人間のビジネスだということだ。Amazonは、AMGを拡充し、セールスチームを拡大したが、ほかの広告プラットフォームをマネたのではない。すべてセルフサービスに関するものだった。「無駄をなくし、マーケターにツールを提供するだけにしたいのだ」と、ハリック氏は語った。

マネージドサービスにお金を払っているマーケターは、この数カ月、シンクホール問題に遭遇している傾向がある。データと指標がもっと欲しければ、マネージドサービスを求めるのはやめにして、セルフサービスに完全に移行したほうがいいと、ハリック氏は語った。

Amazonに力を入れているエージェンシーのバイヤーは、AAPのAPIとは要するに、AMGそのものの段階的廃止を示しているのだと語った。

すべてプログラマティックに



オムニコム傘下のレゾリューション・メディア(Resolution Media)でメディアを指揮するクリス・マクダーモット氏も、ディスプレイと動画のインベントリー(在庫)はいずれすべてプログラマティックによる管理になるとの見方を示した。そうなるとAMGにとっては大転換だ。「AMGはブランドが(広告掲載を)申し込めるようにする、間に合わせのメディアソリューションのようなものだった」とマクダーモット氏。「しかし、いずれ段階的に廃止されるだろう」と同氏は語った。

Amazonの広報担当者は、「我々はエージェンシーと広告主の為に常にツールと製品を進化させている。APIプログラムはその重要な一部であり、測定にはかねてより力を入れている」と語った。

Amazonはこの2カ月、データに関するバイヤーの懸念への対処に努めてきた。あるサードパーティバイヤーが米DIGIDAYに語ったところによると、Amazonのペイドサーチ製品「Amazon Marketing Services(以下、AMS)」でキャンペーンのレポートを1日ごとに考察したいという、バイヤーたちからの大きな要求が、AMSを通じたキャンペーンの大量測定とあわせて、ついに対処された。

新しい特命のグループ



また、サポート面でも動きがあった。インハウスエージェンシーを専門とするグループの誕生だ。このエージェンシー開発グループは「数百人」の従業員を擁し(Amazonはチームの正確な規模の公開を拒んだ)、主にニューヨークを拠点とする。シアトルに本社があるAmazonは2017年後半、広告部門を中心に従業員2000人を収容できる中心部のオフィススペースのリース契約を結んだ。Amazonはすでに、マンハッタンの中間地区に管理オフィスを、またブルックリンにファッション写真スタジオを構えている。

Amazonの広報担当者は、英国、ドイツ、フランス、スペイン、さらには日本とカナダでもこのグループの従業員が働いていることを認めた。主たる目標はeコマースの啓発とトレーニングであり、Amazonが提供するセルフサービスの採用のサポートも行う。

どのように組織されているのかは不明だが、LinkedIn(リンクトイン)を検索すると、複数のエージェンシー開発マネージャーがWPPなどの持株会社に専念することがわかる。Amazonはまた、ヨーロッパでエージェンシーのパートナーシップを促進するヨーロッパチームのマネージャーも探している。

Amazonの広報担当者は、「エージェンシーとの関係は我々にとって極めて重要なものであり、引き続き、ニーズから逆算して取り組みを拡大していく」と語った。

Shareen Pathak (原文 / 訳:ガリレオ)