甘い言葉の裏にはとんでもないわなが隠れていることも少なくありません(写真:twinsterphoto)

昨年末から年明けにかけて投資をめぐる詐欺事件やトラブルが目立っている。なぜ、巻き込まれてしまう人が後を絶たないのか。全3回の短期集中連載で問題点を整理したい。

1つは健康食品の販売会社ロイヤルフーズが約1000人から60億円ほどの資金を集めた事件だ。元本保証で高い配当金がもらえると説明していたが、すでに社長は逮捕されている。

もう1つは健康機器などを販売していたジャパンライフだ。12月に事実上倒産(銀行取引停止)と報じられ、事業継続の意思を示していたが今年3月1日に東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた。高額な健康機器を購入させてレンタル代を受け取る、いわゆる「オーナー商法」と呼ばれる手法で規模を拡大し、負債総額は約2400億円にものぼるという。

そして現在進行形で不動産投資のトラブルとして報じられているのが、女性専用のシェアハウス「かぼちゃの馬車」だ。かぼちゃの馬車を運営するスマートデイズはシェアハウスを建築した投資家に対し、突然2018年1月から家賃保証の支払いを停止すると公表した。当初は単純に事業運営の失敗と思われていたが、各種報道で事実が明らかになるにつれトラブルや詐欺的要素も見え隠れする。

共通していることは…

これら3つに共通していることは何だろうか。答えは「金融機関以外で投資をしている」ことだ。

資産運用にはリスクがある。そしてリスクがなければリターンはない。ただし取る必要のないリスクもある。それが詐欺やトラブルに巻き込まれるリスクだ。

金融機関以外の投資で主なものをあげると「海外投資」「不動産投資」「出資」の3つだ(ここでいう出資は上場企業以外の企業や事業への出資全般、未公開株など)。もちろん、これら3つでもまっとうなものはある。

ただ、投資の知識がない、仕事で忙しくて時間を使えない、それでも何か投資をしたいと考えている……そんな人がトラブルを100%回避する方法は「金融機関以外で投資をしない」の一言に尽きる。

この説明で納得した人はこれ以上読んでいただく必要はないが、それでも何かワリの良い儲け話はあるのでは?と思っている人は決して少なくない。だからこそ詐欺事件は定期的に発生するわけだが、その実態を説明してみたい。

投資詐欺で最もポピュラーなものが海外投資だろうか。「国内では買えない金融商品が買えます」と、日本の金融商品はあたかも質が劣っているかのように思い込ませるのが特徴だ。

大原則として以下の4点を知ってほしい。

・海外の市場だからリターンが高いわけではない
・海外の金融商品だからリターンが高いわけではない
・国内の金融機関で海外に投資することは可能
・海外の金融機関が、日本国内で免許・許可・登録なく金融商品を売る、あるいは仲介することは違法である

国内で買えない金融商品は確かにある。ただ、国内の証券会社でも各社で取り扱う商品に差があり、それと同じ程度の話だ。海外で売られているからといって質が高いとかリターンが高いということはない。海外の商品は優れているといった誤解については、成績が良いものだけを集めればいくらでもそのような説明は可能だろう。国内の商品でも成績上位の投資信託等ならば飛びぬけてリターンの高い商品はたくさんある。

15〜20年ほど前には「なぜ日本の証券会社はこういう投資信託を扱っていないのか?」と言いたくなるような、資産運用を行ううえで当然あるべきベーシックな商品がないという状況はあったが、そのような状況はかなり改善された。取り扱いが増えたものの中には「海外へ投資する金融商品」も多数ある。海外の金融機関を利用するまでもなく、日本の金融機関から海外へ投資することは可能だ。

一部の国内の証券会社ではアメリカをはじめ世界各国の株やETF(上場投資信託)を買うこともできる。そんな状況でわざわざ手間暇をかけて海外の金融機関に口座を開いて投資をする必然性は相当に低い。少なくとも投資の初心者はやる必要がまったくない。

投資のプロもずっこけたマニアックでハイリスクな商品

過去に筆者が受けた資産運用トラブルの相談で、仲介業者を経由して海外投資をしている案件がいくつかあった。かなり損をしているけど続けても大丈夫か?という当初はセカンドオピニオン的な、あくまで投資の相談だった。しかし話を聞いて調べているうちに怪しいとか危ないという状態を通り越して完全にアウト、つまり違法行為が多数見受けられる状況で、大損どころか全額失う可能性があると正直に伝えた案件もあった。

予想どおり違法行為が発覚して金融庁から処分を受けた案件も複数あり、そうなってしまうと後は警察や弁護士の出番だ。大金を投じる前に相談に来てくれれば、としか言いようがない。

トラブルに巻き込まれてしまった顧客が保有する金融商品を調べたこともある。海外でしか売られていない投資信託で中身を確認するまでかなり苦労したが、英語で書かれた説明を解読していくと、特定の国の極めてマニアックで偏った資産に投資をする商品であることが判明した。どれくらいマニアックかというと、外資系金融機関を経て投資アドバイザーとして活躍している知人に聞いても「そんな商品あるの?」と驚かれたほどだ。

しかも、その商品は過去にはたびたび売却できない状態に陥っていた。手堅く運用をしたいという顧客の要望とは大きくかけ離れており、顧客もそこまで得体の知れない商品に投資をしているとは想像もしていなかったようだ。そんな商品がローリスクで確実に儲かる商品であると、ろくに中身も説明せず販売されていて、その事業者は一体いくつの法律違反を犯しているのか、相談を受けたときは目まいがしそうなほど驚いたことを覚えている。

国内で金融商品を扱うには許認可が必要

資産運用の対象となる運用商品は大きく分けて株・不動産・債券と3つのカテゴリーに分類できる。これを国内、先進国、新興国でさらに分類すると3×3=9種類となる。金や原油などの総称である商品(コモディティ)も加えると10のアセットクラス(資産の種類)に分類できる。このうち、先進国や新興国の株・不動産・債券が海外投資となる。

繰り返すが海外へ投資をする金融商品(投資信託や保険等)は国内の金融機関でいくらでも買える。しかも安全な形でだ。損をする可能性はあっても、おカネを持ち逃げされたり、詐欺に巻き込まれたり、仲介業者に逃げられて(あるいは逮捕や業務停止によって)自身で海外の金融機関と直接交渉をするような状況に陥ったりすることはない。

国内で営業許可をとっていない事業者は金融商品を売ることはできない。これは金融庁のホームページで公開されている「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」のページを見れば全て確認できる。ここに載っていない事業者が金融商品を販売・仲介していれば違法行為の可能性が高い(当然、ここに載っているからといって安全ということもない。トラブルを起こして許認可が取り消されることも度々ある)。

海外の金融機関に口座を作ることやそこで資産運用をすること自体は必ずしも違法行為ではない。海外に転勤した人はもちろん、外資系企業でストックオプションや従業員持株会等で株を保有している場合など、いずれも珍しくはない。したがってそのやり方や個々の案件の適法性については言及しない。

ただ、「海外の金融機関に口座を開いて投資をしたいんですけどどうでしょう?」と筆者が相談を受けたら、トラブルが発生した時に自分で解決できるだけの語学力、英語で書かれた商品説明を読んで理解するだけの金融分野の知識、あとはトラブル発生時に対応するだけの時間があるなら自己責任でやってもいいんじゃないでしょうか、といった回答になる。

おそらくそこまで手間をかけて、なおかつトラブルや詐欺のリスクを抱えて投資をするくらいなら初心者に限らず国内の金融機関を利用したほうがよっぽどマシ、ということになるだろう。