WedsSport ADVAN LC500/撮影:栗原祥光

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2018年SUPER GTシリーズの開幕前最後となる公式テストが、3月24日(土)と25日(日)の2日間富士スピードウェイ(静岡県)で行われ、「WedsSport ADVAN LC500」が2日間のベストタイムを記録した。

【写真を見る】笑顔でサムアップする元F1チャンピオンのジェンソン・バトンとチームメイトの山本尚貴/撮影:栗原祥光

■ 今シーズン開幕まであと2週間!F1ドライバーが4名エントリーする今年のSUPER GT

今シーズンのSUPER GTには、F1経験者が4名レギュラー参戦するという豪華なシーズン。中でも注目は、2009年のワールドチャンピオンを獲得したジェンソン・バトンだ。

参戦チームであるRAYBIRGのピット前は、ひと目姿をみようとするファンでいっぱい。マシンであるNSX-GTも仕上がりつつあるようで、一時はトップタイムをマークしていた。

また、ヘイキ・コバライネンと小林可夢偉という2人のF1経験者がステアリングを握る「DENSO KOBELCO SARD LC500」も注目の一つ。

SUPER GTのチャンピオン経験のあるコバライネンと、今年からフルシーズン参戦する小林のコンビがどのような走りを魅せるのか、こちらもピット前は常に人で溢れていた。

■ 初日最速は「フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R」

富士公式テスト初日となる3月24日(土)は、午前と午後それぞれ2時間ずつのセッションが行われた。天気は曇り空で気温は10度前後とやや肌寒い。その中、各チームは開幕に向けた確認作業や富士で行われる第2戦(5月3日、4日)に向けたタイヤ選択に向けて精力的に走り込みを行った。

マシンもまだカラーリングをされていないものが幾つか見受けられた。「MOTUL AUTECH GT-R」に至っては屋根にピトー管を取り付けて走行。データ収集を行っていた。

午前10時から行われた「SESSION1」は、ホームコースであるLEXUS勢が強さをみせ始める。昨年のシリーズチャンピオンである「Keeper TOM'S LC500」の1分29秒014を筆頭に「WedsSport ADVAN LC500」が0.068秒の僅差でワンツー。

以下トップ6は「カルソニック IMPUL GT-R」「WAKO'S 4CR LC500」「au TOM'S LC500」「MOTUL AUTECH GT-R」と続き、レクサス陣営にニッサン勢が割って入り、トップ9のうちニッサン勢の4台はすべて入った。いっぽうのホンダ勢は「RAYBRIG NSX-GT」が一時トップタイムを叩くものの低迷。もともとホンダ勢は富士を得意とはしていないが、今年もその傾向なのだろうか。それとも決勝を見据えたテストを行っていたのか、気になるところだ。

午後2時から2時間行われた「SESSION2」は、各チームともロングランテストが行われていたようで、午前に比べてタイムアップするチームは少なかった。開始から30分ほど経過したところで「GULF NAC PORSCHE 911」のタイヤがバーストし2コーナー先でストップして赤旗となる。この後も「SUBARU BRZ R&D SPORT」「ARTA NSX-GT」がトラブルでストップし、都合3回の中断があったため、セッションは10分間延長された。

午前中はレクサス勢に押されていた日産勢であるが、「フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R」が見事なパフォーマンスを見せてこの日の一番時計をマーク。GT500専有走行時間に「フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R」の高星と「WedsSport ADVAN LC500」の山下による予選タイムアタック合戦のような走りを行い場内は湧いた。どちらも横浜ゴムを履いていることも注目すべき点だろう。以下「WAKO'S 4CR LC500」「MOTUL AUTECH GT-R」「au TOM'S LC500」「RAYBRIG NSX-GT」が続き、終わりトップから11番手「DENSO KOBELCO SARD LC500」まで、そのタイム差は僅かに0.933秒。今年もSUPER GTは激戦を予感させた。

■ レクサス勢が強さを発揮!

富士公式テスト2日目は、雲ひとつない晴天のもと、朝9時から2時間「SESSION3」がスタート。コース上では「ZENT CERUMO LC500」をはじめ、スピンをする車はあったものの、赤旗中断することなくセッションは進んでいく。

開始1時間後の順位は、1位に「フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R」、2番手に「KeePer TOM'S LC500」、3位に「カルソニック IMPUL GT-R」というラインアップ。昨日の好調さが、そのまま続いているようだ。

しかしセッション後半で「WedsSport ADVAN LC500」が1分28秒877と前日のトップタイムに対してコンマ2まで接近する好タイムをマーク。路面温度が上がっても横浜ゴムの調子はよいようだ。その後、昨年のチャンピオンである「WAKO'S 4CR LC500」もタイムを更新し0.373秒差の2番手につける。結果、1位Weds、2位WAKO'S、3位KeePer TOM'Sとレクサス勢がトップ3を独占。その後にフォーラムエンジニアリング、カルソニックが続き、NSX-GTのトップは無限の9番手で午前のセッションが終了した。

午後に入ると、第2戦決勝を見据えたテストが行われた。まずはセッション開始前にスタート練習。隊列を組んだ状態からのローリングスタートを実施した。

その後は各チームとも第2戦の決勝を見据えたロングランテストを実施。その中で序盤にタイムを出したのが「カルソニック IMPUL GT-R」。気温や路面温度が上がったためか1分29秒409と午前のセッションから約1秒落ち。

その0.255秒差で「RAYBRIG NSX-GT」が入った。レクサス勢はここでも好調で、0.358秒差で「WAKO'S 4CR LC500」が続く。

このセッションでは赤旗中断が相次いだ。まず「MOTUL AUTECH GT-R」がADVANコーナー手前でエンジンストップ。「DENSO KOBELCO SARD LC500」もエンジンブローが発生し、メインストレートでマシンを止めた。さらに前日トップタイムを叩き出していた「フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R」もエンジントラブルによりピットロード出口付近に車を降りた。レクサスとニッサン勢にトラブルが出たものの、ホンダ勢は前日のARTAに起きた小さなトラブルを除けば快調にラップを重ねていく。今年はF1同様に信頼性に開発の重きを置いたのだろうか。

セッション残り2分頃にWedsSport ADVAN LC500の山下健太が1分29秒447とトップのカルソニックに対して0.038秒という僅差のタイムを叩き出す。山下健太はつい先日大学を卒業したばかりの若手で、一発だけでなくロングランでもタイムが安定。しかもWeds自体も62周という走り込みを行っており、今年のWedsは台風の目になるかもしれない。

結果、「カルソニック IMPUL GT-R」がそのまま1番時計。「WedsSport ADVAN LC500」「RAYBRIG NSX-GT」が続き、3メーカーがそれぞれ上位3位に入った。4番手に、この日ほとんど大嶋和也が1人で走り込んだ「WAKO'S 4CR LC500」が入り、5番以下「ZENT CERUMO LC500」「MOTUL MUGEN NSX-GT」「Epson Modulo NSX-GT」が顔を並べた。

SUPER GT開幕戦は、岡山国際サーキットにて4月7日(土)に予選、8日(日)に決勝が行われる。昨年はレクサス勢が上位を独占したが、今年はどのような形になるのか。今から楽しみだ。

■ テスト観戦だけでは勿体無い!他にもイベントいっぱい

テストの2日間、コースサイドでは様々な企画が行われていた。午前と午後のセッションの間には、選手や監督によるサイン会が行われ、特にRAYBRIGのブースはジェンソン・バトンの姿をひと目見ようと多くの人が押しかけた。

人気チームの一つで、昨年のGT300クラスのチャンピオン「グッドスマイルレーシング」には、谷口信輝、片岡龍也の両ドライバーのサインを求める人の姿が後を絶えなかったほか、今年から古巣「RACING PROJECT BANDOH」のアドバイザーに就任したレーシングドライバー織戸学のところにも、ファンがサインを求めていた。

またセッション中はコースサイドから見学するバスツアーも実施。ガードレールやフェンス一枚隔てたサービスロードからバスの中からとはいえ、間近に走るレーシングカーの姿は迫力満点!普段のレースの時には行わないので、大変貴重な機会といえるだろう。

その他、子供たちが普段はいることのできない場所を見学するサーキットサファリや、アナウンサー体験、カメラマン教室などが行われた。

レースはもちろん、テストの日でも楽しいSUPER GT。ぜひ機会があれば足を運んでみてはいかがだろうか。(東京ウォーカー(全国版)・クリタタカシ)