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 3月5日に発表された資生堂の2017年12月期は、売上高で初の1兆円大台を超えた(18.2%増収の1兆50億円)。営業利益も期初計画を大幅に上回る118%増の804億3700万円。一部に「前期は訪日観光客の売り上げが16年度に比べ7割方増えた影響が大きい」とする見方が聞かれた。事実は事実。否定はしない。だがいまの同社には次の様な現実がある。「訪日観光客」云々だけでは説明しきれない状況である。

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★国内の化粧品市場全体の17年の伸び率は2%程度。対して資生堂の店舗販売は12%伸びている。

★資生堂は高価格帯ブランドに軸足を置き替えた。アナリストは「それが既存のブランドの底上げや、16年に買収したプレステージ(メーキャップ)ブランドの早々の伸長を促した」としている。

★過去数年来に進めてきた原価・人件費・販売経費などの削減効果が顕在化してきた。14年度の売上高営業利益率3・5%に対し17年度は8%に達している。

 そして至20年度の中長期経営計画「VISON2020」について決算発表の席上で魚谷雅彦社長が掲げている「CAGR(年利複利成長率)5-7%」「営業利益1000億円超。それを実現するためには、「揺るぎない売上高1兆円体制の構築」「ROE12%以上」をあらためて確認するように語り、こう付け加えた。「計画の実現を盤石なものとするために、これからの3年間で3000億円の投資を実行する」。そして投資に関しての具体策で耳を惹かされたのは、「ITインフラ投資に270億円を当てる」というくだりだった。初の公言であるだけに、こう噛み砕いた。「世界の主要ネット通販サイトと連携を強める。中国を中心に内外合わせたEコマースの総売上高比率を15%にまで高める(前期末時点では8%)。国内は10%水準だ。ECはこれまでパーソナルブランド品が主だったが、プレステージブランドやコスメティクスブランド商品も積極的に投入していく。

 売上高1兆円を超えた今、資生堂はECの本格化を宣言したのである。