画像提供:マイナビニュース

写真拡大

●増加し続けるトラフィック

MVNO事業「OCN モバイル ONE」を運営するNTTコミュニケーションズは、ネットワーク回線への取り組みに関する説明会を開催した。コストとも直結するトラフィック対策はどのように行われているのか。

○トラフィックは年々急上昇中

まず日本全体のブロードバンドトラフィックと、モバイル回線におけるトラフィック(いずれも下り方向)を比較すると、全体の伸び率が31.6%であるのに対し、モバイル回線は42%超と、上がり幅は急激になっている。こうした傾向は世界的なものであり、シスコの予想では2021年には、モバイルトラフィックは2016年の7倍にまで膨れ上がると予想され、そのおよそ8割がYouTubeなどのビデオトラフィックだと考えられている。

少し古いユーザーにとっては、パケット消費の大きな動画コンテンツは固定回線で見るべきものという印象が強いが、最近のスマホネイティブな子供達はモバイル回線で好きな動画を楽しむことに躊躇しないようだ。

OCN全体として見ても、一人当たりのトラフィック量は年間20%の伸び率で増加しており、ユーザーも容量の大きなプランに移行しつつはあるものの、トラフィックの伸び率には追いついていないため、何らかの対策が必要だとした。

ちなみにOCNのトラフィックは、およそ10%程度のヘビーユーザーがトラフィックの大半を占めており、約半数のユーザーが占めるトラフィックは全体の数%にすぎないという。またプロトコル別に見るとGoogleがYouTubeのモバイル版アプリに採用したUDP改良版「QUIC」が伸びてきており、YouTubeなどの動画配信コンテンツがいかに人気を集めているかがわかる。

ただ、一口にトラフィック問題といっても、大きく分けるとネットワーク全体のトラフィック上昇と、少数のヘビーユーザーが帯域を占有していることの2つに分けられる。前者については設計帯域を見直して増設したり、新技術の採用によるコスト低下など事業者側の自助努力、それとユーザーへWi-Fiなどへのオフロードをお願いするといった対策が必要だ。

●OCNモバイルONEのトラフィック対策

○様々な技術でトラフィック増加に対応

現在OCNモバイルONEで行われているトラフィック対策としては、速度制限中でも最初の150KBを速度制限なしにする「バースト転送」や、トラフィックコントロール装置によって混雑時に無駄なパケット再送を抑制する「TCP最適化」、動画などの先読みバッファーを減らす「httpsペーシング」といった機能を順次導入してきた。

今後は「QUIC」をペーシング対象に加えたり、BIGLOBEが採用している、動画や静止画の圧縮により容量を減らしスムーズに視聴できるような仕組み(ユーザーの同意が必要なオプトインの選択肢になるが)の導入、プロトコル毎のダイナミックな最適化といった技術面での自助努力が方向性として挙げられた。

また、ユーザーへ積極的な情報公開を進め、自社網の状況の「見える化」を進め、ユーザーのニーズに合わせたサービス設計をしていくとしている。

問題は帯域を食いつぶす、パーセンテージとしてはわずかなヘビーユーザーへの対策だ。ちなみに参考として、米国では4大キャリアは使い放題のアンリミテッドプランを提供しているが、やはり上位数パーセントが大きな帯域を占有しているため、月に一定量を使うと速度が落ちるかもしれない、という警告を表示して、一定の効果を得ているという。しかしOCNモバイルONEは、直近3日間の通信量が多いと1日帯域を規制する、いわゆる「終日規制」をかけていない。それがOCNを選択する理由の一つとして選ばれている側面があるため、こうした帯域制限による対策は検討中とするに止まった。

ヘビーユーザーの極端な利用がネットワーク全体に負荷をかけている状況は料金の公平性という観点からも問題があり、一方で制約の少なさを魅力にしている以上、あまり制限を強くしても反発を招いてしまう。バランスの難しい問題だが、OCNモバイルONEではユーザーに負担を強いることなく、できるだけ自助努力で、技術的に解消しようとしている点は好ましい。MVNOユーザー満足度調査では5位(MMD総研調べ)だったが、こうした努力が評価され、より高い評価を受けられるように期待したい。

○フルMVNO化へも含みを持たす

終会後の質疑応答では、IIJがサービスを開始した「フルMVNO」の導入について質問が寄せられたが、これについて「検討していることは事実」と発言。「(IIJのような)法人向けやプリペイド向けにはメリットがある」としつつ、「eSIMとセットでないと提供しづらい」と見解を述べた。

ドコモとのフルMVNO契約についてはIIJが他社の参入についてなかなか難しそうだと発言していることや、同じNTTグループということでNTTドコモと事業内容が重なりかねないフルMVNO化は一筋縄ではないかないかもしれないが、設備投資や技術面での不安はほぼない。現在でもLINEモバイルなど、広くMVNE事業を進めているだけに、フルMVNO化すればより自由度の高いMVNE戦略も進められるだろう。