CHSのバイオエタノール製造工場

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 米国では、糖やでんぷんに次ぎ、植物の繊維質「セルロース」を原料にバイオエタノールを生産する動きが活発だ。バイオエタノールの製造過程で出るトウモロコシの粒の皮や胚芽といったセルロースの多い部分を、機能性の高い酵素でバイオエタノールの原料として利用。生産性の向上で、より高い利益を生み出す狙いがある。

 トウモロコシからバイオエタノールを製造すると、エタノール以外にコーン油と飼料ができる。これらも商品として売れるが、価格はエタノールの方が高い。そのため、トウモロコシ1ブッシェル(約35リットル)当たりのエタノール製造量を上げ、利益につなげる研究がされてきた。

 現在、米国内には約250のバイオエタノール製造工場があるが、一部ではセルロースを原料とする新しい手法を導入している。エネルギーや穀物などを手がけるナスダック上場のCHS(ミネソタ州)も、2019年9月までにセルロース原料でのバイオエタノール生産を事業化し、製造量を増やす計画。

 ただ、繊維を分解する機能を持つ酵素が高額なのが課題。これについて同社マネージャーのマイク・ホーテン氏は「既存の工場設備を使用でき、設備投資の負担がない。事業化は十分可能だ」と楽観視する。

 こうしたセルロースを分解する酵素の開発は、化学メーカーなどの企業が先導してきた背景がある。技術導入も、実証実験を繰り返すのではなく、事業として導入する戦略を企業自身が持つ。技術開発から社会実装までを、政府に頼らずに進めることができるのが、米国の強みといえそうだ。
(文=米シカゴ・安川結野)