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プレジデント誌の好評連載「悩み事の出口」。ライフネット生命の創業者で、立命館アジア太平洋大学学長の出口治明さんが、読者の悩みに答えます。今回のお題は「身近にロールモデルがいない」。出口さんは「社外か書物の中を探してみてください」といいます――。

■Q:憧れのデキる上司が次々に転職。身近にロールモデルがいません

転職した憧れの上司についていったらどうでしょうか。

――そう簡単におっしゃいますが……。

“次々に”転職するということは、もしかしたら職場に魅力がないのかもしれません。そのような職場にしがみつくよりも、「僕も一緒についていきます」とその上司に伝えたほうがいいのではないですか。

――でも、上司の転職先は、自分がやりたい仕事じゃないんです。

では、飲み会や勉強会、合コンなどでもいいですが、たくさん社外の人に会ってみてはどうでしょう。その中でロールモデルが見つかるかもしれません。必ずしも、社内で見つける必要はないので。

――出口さんは、仕事のロールモデルとなる人はいましたか?

僕はいますよ。クビライ(モンゴル帝国の第5代皇帝)です。

――歴史上の人物ですか?

ロールモデルは誰でもいい。書物の中の人はダメだとか決めつけてはいけません。

僕の場合は、ライフネット生命にもいますけれど。

■自分にない素晴らしい点があるから憧れる

――え、そうなんですか?

僕よりも年上の常勤監査役で、保険業界での経験も僕より長く、深い。その人にはいつも叱られています。

――出口さんが叱られるんですか?

はい。あれこれ議論して、最後に言われるのは、「理屈はわかった。でも俺は年上で経験があるから従うように」と。僕は彼を尊敬しているので、最後は彼の感覚を信じます。これこそ最高のロールモデルでしょう。

――出口さんは「数字・ファクト・ロジック」で考える人ですよね。違うタイプの方がロールモデルになったということですか。

それが大事です。ロールモデルというのは、「生き方や考え方を見て参考にする」ということなので、自分と必ずしも同じタイプの人である必要はありません。

――なるほど。確かに私の上司も自分とは違うタイプでした。

自分にはない素晴らしいところがあるから憧れるのです。つまり、ダイバーシティが大事。自分とは視点や、感覚が違うからこそ、その人が貴重な存在になる。

数字・ファクト・ロジックだけでは抜けがあるかもしれません。最後は経験者の勘に頼ることも大切なのです。そういうロールモデルが身近にいなくて欲しければ、広い世界に探しにいけばいいのです。

Answer:身近にいなければ社外か書物の中を探してみてください

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出口治明(でぐち・はるあき)
立命館アジア太平洋大学(APU)学長
1948年、三重県生まれ。京都大学卒業。日本生命ロンドン現地法人社長、ライフネット生命社長・会長を経て、2018年1月より現職。
 

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(立命館アジア太平洋大学(APU)学長 出口 治明 構成=八村晃代 撮影=市来朋久 写真=iStock.com)