課題解決力で日本を凌駕、世界が注目するアフリカの「優秀な人材」

写真拡大 (全2枚)

ICT (情報通信技術)分野で世界の投資家から大きな注目を集めているアフリカのルワンダ共和国。この国ではモバイルでの決済や送金サービスは日常のものとなっている。マーケットで野菜や雑貨をショッピングするときや、食事をともにした友人と割り勘をするときにも利用される。町中いたるところに、電子マネーの入金スタンドがあり、店員に現金を渡すと直ちに携帯電話の口座に入金される。

電子マネーがアフリカで伸びているのは、日本のようにATMが町中に設置されておらず、銀行間ネットワークが未発達なため口座送金に手間と時間がかかったり、現金を持ち歩くことに治安上のリスクがあったりするからだ。先進国では当たり前の金融インフラが未整備なゆえに、皮肉にも次世代のフィンテックサービスが急速に拡大している。

命を救うドローンが国中に飛ぶ

そんなルワンダで、もうひとつ注目されているのがドローンによる輸送事業だ。首都キガリから車で1時間ほどの郊外に、米国のスタートアップ企業Zipline(ジップライン)が運用するドローン専用空港がある。

ルワンダは「千の丘の国」と言われるように、国中に起伏の富んだ丘陵地が広がる。直線でわずか30キロメートルを移動しようしても、道路状況の悪さもあり、四駆車で2時間以上かかるのはざらだ。そのためドローンでの運搬には多大なアドバンテージがある。

Ziplineが運用するドローン専用空港からは、輸血用の血液製剤が国内各地の病院に配送されている。夜間を含めて24時間運用され、血液が必要となった病院からメールで発注が届くと、冷蔵・冷凍で無菌保存された血液が直ちにドローンに積み込まれる。

ドローンは、時速110kmで飛行し、30km先の病院に15分で荷物を届ける。GPSを利用した完全自動操縦だ。目的地に到達すると、パラシュートで荷物を病院の軒先に投下する。8メートル四方のエリア内に必ず落下する驚くべき精度を持つ。一日最大150便を飛ばすことができるという。国全体をカバーするドローン配送サービスとしては世界初の試みである。

ルワンダではドローンに関する航空法令の規制が存在していた。しかしそんな状況下、血液製剤を安定的に国中の病院に供給するという取り組む社会的課題の大きさ。その重要性が規制をクリアする理由にもなったのだ。

実は、今年2月に行った神戸市のシリコンバレー学生派遣プログラムでも、同じようにアフリカの人が、大きな社会的課題に挑む姿を垣間見ることができた。プログラムでは、参加者は最終日に神戸市と関係が深い米国シリコンバレーの有力VC「500 Startups」のオフィスで、トップレベルの投資家であるメンターに自らのビジネスプランを披露することになっていた。


500 Startupsのオフィスでビジネスプランを披露するアルジェリア留学生

そこで最高の評価を得たのは、東京大学、大阪大学など国内の有名大学の学生ではなく、アフリカのアルジェリアからやってきて、神戸情報大学院大学で学ぶ女子留学生であった。彼女のビジネスプランは、子供の誘拐を防止するために、IoTとGPSを活用して子供の現在位置をリアルタイムに把握し、異常があれば保護者に警告を通知するという、社会的にも重要な価値を持つものだ。

そのプランに比べて、日本人学生のプランは、訪日外国人旅行客を大学生が案内し同時に英会話体験ができるマッチング事業やITエンジニアの技術・知識のシェアリングサービスなどで、ニーズはあるかもしれないが、どれも重箱の隅をつつくものばかり。解決する社会課題の大きさを重視するシリコンバレーの投資家にはおよそ刺さらないものばかりだった。社会課題を一刀両断で解決するアルジェリアからの女子留学生のプランに勝てるわけはない。

「500 Startup」とルワンダは同列

そのような大きな課題に向かっているアフリカの人たちに対して、日本もただ黙視しているだけではない。DMM.comは、2016年にソフトウェア開発・運営を行うルワンダの会社HEHE LABS Ltd.(ヘヘ・ラボ)を買収した。

同社の創業者でCEOのクラリス・イリバギザさんは、フォーブス誌のアフリカで最も将来性のある若手起業家30人にも選出されるカリスマ女性起業家だ。また同社の会長に就任したアレックス・カブングさんも、「アフリカ諸国へのビジネス展開を進め、自社をアフリカ最大のIT企業に成長させる」と語り、キガリにあるカーネギーメロン大学や神戸情報大学院大学で学んだ優秀な人材の確保を進めている。

また、日本政府もルワンダに熱い視線を送っている。JICA(国際協力機構)が2017年からルワンダでイノベーションのエコシステムを構築する技術協力プロジェクト(2017年10月〜2020年9月)を開始した。街づくりや道路建設でない、新しいアフリカの開発及び支援だ。

外務省は今年3月、ルワンダのICT大臣を日本に呼んで、日本企業とのつながりも深めた。今年5月には、キガリで開かれるアフリカ最大のIT関連国際会議「Transform Africa Summit 2018」に、総務省、JICA、神戸市が共同でジャパンパビリオン(日本館)の出展を計画し、参加する日本企業を募っている。

神戸市と「500 Startup」との連携は最先端のテクノロジーという技術力、アフリカのルワンダとのそれは成長力と課題発見力、私から見るとそれは同一直線上に位置している。次回は、人口減少社会の中での地方創生と自治体の可能性についてと、最先端のテクノロジーとデータ活用をどのように社会・地域課題の解決に生かしていくのか、神戸市の新たな挑戦をレポートしたい。